一輪の花 ページ17
私はただただ信じられない思いで見つめる
「久しぶりだね。」
その顔を忘れるはずもない
はるちゃんのお父さん
私「あ...」
跡部「ゆっくりお話しされてください。」
父「ああ。ありがとう、跡部くん。」
幸村「俺たちは出ようか。」
みんながぞろぞろと出て行き、2人きりになった
気まずい沈黙
父「大変な時に突然押しかけてごめんね。」
バツが悪そうな顔で眉尻を下げて言った
私「いえ、私こそごめんなさい。ずっと謝れなくて...」
会いたくて、会いたくなかった
謝りたくて、謝れなかった
はるちゃんを死なせてしまった後ろめたさから亡くなって以来、1度も会わなかった人
父「近くに行ってもいいかな？」
気遣うような表情を滲ませながら、恐る恐る聞く
私「もちろんです。」
良かったと言わんばかりに安心した顔をすると、ベッドの近くの椅子に腰掛けた
父「君のお友達から全て聞いたよ。それで君に会ってくれないかって。」
私「そうだったんですね...」
心遣いにとても胸が締め付けられた
父「君に見せたい写真があるんだ。」
そう言うと、1枚の写真を取り出す
そこに写っていたものは一輪の花
私「これは...」
父「春香が大事にしていた花があっただろう？」
私「はい。」
はるちゃんが大事にしていたお花はあの男の手によって全て枯れてしまった
父「咲いていたんだよ。」
私「えっ？」
父「枯れ果てた花壇の中で唯一、この花だけ綺麗に咲いていたんだ。」
あの日焼け野原のようになっていたあの花壇で...
私「うそ...」
父「私も発見した時は目を疑ったよ。でも、この花だけは隅で力強く咲いてたんだ。」
写真に写る花はとても綺麗に咲いていた
まるで凛と強く生きていた彼女を表すような
私はその花を見つめ、今まで抑えていた感情が溢れるように堰を切って涙が止め処なく流れる
父「君にはたくさんの苦しみを背負わせてしまったね。」
涙で声が出せない代わりに首を横に振った
父「君に出会って春香はとても明るくなったんだ。」
私もだよ...
はるちゃんに出会えて世界が広がったんだ
父「春香のために泣いてくれてありがとう。春香の友達になってくれてありがとう。」
��Aがいて楽しかったよ��
はるちゃん、
私も出会えて良かったよ
父「これからは君の人生を生きてくれ。そして春香が歩めなかった未来に一緒に連れて行ってやってくれないか？」
紛れもないこの花は希望だ
私もこの花のように凛と生きたい
強くそう願った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かるぴん(プロフ) - とても面白くて一気読みしました！続きがあったら是非読みたいです！ (2021年3月12日 2時) (
レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
Higuma(プロフ) - 終わりですか?? Σ( ´･ω･`) (2020年9月19日 17時) (レス) id: 72c8bd0285 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - 続きはー？ (2020年5月23日 2時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 実は私は宍戸と長太郎ことが大好きでいろいろ集めているのです。 (2020年3月24日 13時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
雲母(プロフ) - 宍戸さんかっこいいですよね！ありがとうございます！頑張ります！ (2020年3月23日 21時) (レス) id: e28767f456 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雲母 | 作成日時：2020年3月18日 1時
