保健室のモトキ先生 (ページ9)

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Karte6 ページ9

Your Side

遠くで声がする。
優しくて心地良い、聞き慣れた声。

『A』

私の名前を呼ぶ声が少しずつ意識を引き寄せる。
海の底から水面に向かっていくような感覚と
水に反射する太陽の光に似た眩しさに目を開ける。

『あ、起きた。おはよう』

私だけに向けた微笑み。
そこにいるのは紛れもないモトキ先生。

「あれ……先生がいる……？」

『何言ってんの笑
俺はずっとここにいるよ？笑』

幻覚が見えているのかもしれない。
だって先生は遠い所に行ったんじゃ。

『A、大丈夫？変な夢でも見た？』

あぁ、そっか、あれは夢だったんだ。
よかった、先生はここにいる。

「夢だったみたいです……よかった……」

ホッとしていると先生が髪を結び直しながら
帰ろっか、と言う。
時計はもう6時を指していた。

「帰るの遅くさせてごめんなさい…」

『んーん、いいのいいの、送ってくよ』

本当なら断らなきゃいけないんだろうけど
先生と離れたくなくて結局送ってもらうことにした。

〜栖原宅前〜

「送ってくれてありがとうございました」

家でお茶の一つでも出せればいいけど
諸事情あって出来ないのが残念。

『いえいえ、親御さんによろしくね』

分かりました、と返事をしかけた時
運悪く母親が帰ってきてしまった。

母「あらA？おかえりなさい」

「た…ただいま……」

他人の前だといつもよりワントーン高くなる声は
脳を揺らされてるような気持ち悪さにする。
酷い猫被りだ。

『あ、栖原さんのお母様ですか？
宇尾高校の養護教諭のモトキと申します。
いつも娘さんとは仲良くさせていただいてます』

もう、早く帰らせて……。

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更新遅くなりすみません。
先日のファンミ、16日の1部に乗船してきました。
言葉に変えられないくらい楽しかったです。
引き続き更新頑張ります。