保健室のモトキ先生 (ページ22)

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Karte15 ページ22

Your side

先生の目を見れないまま
自分の気持ちを正直に言った。
シルクさん達の言葉に背中を押されて。

「困ること言って、ごめんなさい」

『ううん、困ってないよ。
でもねA、気持ちは嬉しいんだけど……』

あ、断られる。振られるんだ。
私の消極的思考は一瞬で最悪の結果を導き出す。
初めての恋で初めての失恋になるんだと。

初恋は苦い味ってよく聞くけど、本当なんだ。

先生の次の言葉が怖い。聞きたくない。
そう思うと、止まったはずの涙がまた溢れる。
泣いても先生が困るだけなんて分かってるのに。

『そういうのは俺の方から言わせて欲しかったな』

笑った。先生は照れたように、笑った。
私は未だに何を言っているのか理解が出来ない。

「先、生……？」

『俺、Aがそんなこと思ってるなんて知らなかった。
さっきは辛い思いしたよね、ごめん。
だから泣かないで？可愛い顔が勿体無いよ。』

また私をAと呼んでくれた。
苦しいくらいにぎゅっと抱き締めてくれた。

「私の、片想いじゃ……？」

『ないよ。まぁ俺も気付いたのは最近だけどね』

「なんで……」

疑問と涙が止まらない。
何で？どうして？と聞きたいことが溢れてくる。

『なんでなんで星人の聞きたいことは後でゆっくり聞くから。
とりあえず泣き止んでください？脱水症状になっちゃうよ？』

冗談めかして笑いながら私の濡れた頬を拭い撫でる。
どこまでも優しい先生。
これは夢じゃないかと錯覚するくらい、今は私にだけ優しくしてくれる。

「…先生……好き…っ」

『うん、俺も』

今日、私は初めて、【両想いになった人】とキスをした。
少しだけ甘いグミの味がした。