保健室のモトキ先生 (ページ13)

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Karte9 ページ13

学校に着いたのは正午だった。
運動部の声が校内外から聞こえてくる。

「先生〜〜〜〜〜」

切れた息もそのままにドアの前で呼びかければ
はぁーい、と間の抜けた声がが返ってくる。
開いたドアの前にいる、笑顔のモトキ先生。

『思ってたより早かったね笑
……もしかして走ってきた？』

「先生にっ、会いたくて…っ、へへ…」

『もう〜言ってることは可愛いけど体調が可愛くないよ〜』

背中を優しく撫でながら椅子へ導いてくれる。
息を整えれば、珈琲の香りが鼻を抜ける。

『水と珈琲、どっちがいい？』

「んー…どっちもください笑」

『言うと思った笑』

ふにゃふにゃと笑いながら私の前に桃色のマグを置く。
マグの中にはミルク無し･角砂糖2つの珈琲。
先生は私の好みを覚えてくれている。

「ありがとうございます、本当に先生の淹れる珈琲美味しい笑」

『それはよかですなぁ笑』

「はぁ〜…幸せ……」

珈琲の余韻に浸っていると先生が隣に座った。
いつも必ず正面に座るのに。

『Aちゃん、昨日はごめん。
無理矢理辛い話させたり…………キス、したり……』

先生が俯きながら言う。少し悲しそうな顔で。
私はもう突然の話で何が何だか分からない。

『教師があんな事しちゃいけないって分かってたんだけど。
それにAちゃんの同意もなくするなんて最低だよね…
キスなんて、好きな人としかしたくない筈なのに……』

先生が自分を責めているのがすごく悔しい。
私は先生がこんなにも……好きなのに。

「……先生は、後悔してるんですか」