無比の大将軍 (ページ32)

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29話　不変ページ32

この事実を突きつけられ､昌文君やその他の家臣達は何も言うことが出来なかった｡

王騎は場を濁しに来ただけだと先程言っていたように､将軍は本当にそれだけを言って去って行こうとする。

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ﾊﾟﾁ…｡
「あれ…此処…何処……?僕…咸陽で戦を………」

……なんか…この部屋…この家具の位置…見たことあるな…一度じゃない｡何度も見たことがある景色…｡

「……おやｧ?起きましたか､A」

飽きるぐらい聞いた懐かしい声がAの中で強く響いた｡

…あぁ､なんて久しぶりだろうか…｡
「師匠…!!!」

「……ﾝﾌｯ｡……久しぶりですねｪ､A
いくつか雰囲気が変わりましたね｡
あの時と比べて顔に特に変化はありませんが､すっかり雰囲気が大人に近づいて来ていますねｪ…｡」

「…し…師匠…僕…僕ｯ…」

「ｺｺｺｺｺ…焦らなくてもこの王騎は居なくなりませんよｫ｡貴方が望むならずっと､そばに居ますからね」

「ｯｯ…!!!!ｸﾞｽｯ､ﾋｸﾞｯ…王騎様ｧ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ…｡

Aは今まで涙を堪えていた｡
師である王騎と会えたことに対する嬉しさが突然こみ上げてきていたが､それを我慢していたのだ｡

Aは後で､王騎将軍が居なくなってから一人で泣こうと思っていた｡
ただでさえ将軍という立場であって忙しい王騎に自分如きが心配をかけない為にだ｡

しかし､王騎の一言により先程まで堪えていた涙はポロポロと溢れ出てしまったのだ｡

「ﾝﾌｯ､……9年経って雰囲気は違くなろうと中身は相変わらず子供のままですね､Aは」

……ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞｯｯｯ!!!
「おやおや…何の音でしょうか…」
……ﾊﾞﾝｯｯ!!!
「…騰｡戸を開ける時はお静かに｡」
「……ﾊｯ!殿､すみません｡」

ﾊﾞﾁｯｯ……!!

急いで駆け込んできた騰将軍と目があった｡

騰将軍と会うのも王騎将軍と同じく9年ぶりであったAは騰に何と話せばいいか分からず､口を開けては閉めての魚の様な動きを繰り返しをしていた｡
「騰様…僕…その」

……ｶﾞﾊﾞｯ!!

「………騰…様…?」

「無事で良かったｯｯ…」

「ｯｯ…!!!!!」

「A…お前が居ないことで､今まで､私の集中力が幾つ削がれたか知らないだろう?
……とにかく､無事に帰ってきて良かった…｡
…私がどれ程､お前を心配したか…｡」

「騰様ｯｯ…僕ｯ…ごめんなさいｯ…ごめんなさｯ、」