もう終わりにしよう

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月日は流れ桜の匂いが心地よい春
晴れて棘と僕は高校生になった。



僕も棘も家柄東京都立呪術高等専門学校似通う
同級生はどんな人達なんだろう
仲良くできるといいな。




制服に身を通し、これから始まるであろう寮生活の為の大量の荷物を背負い玄関に向かう。




そこにはいつものように棘の香りが広がってた




『おはよう棘』
「おはよう拓哉」


棘がそっと僕の手を握る。




棘はいつも僕を迎えに来ては手を引いて学校まで連れていってくれた。これは高校生になっても続くらしい。


棘は僕にすごく親切で、優しくしてくれる。




けれど少しばかり棘の優しさが痛い
こうして手を引かれなくとも僕は大丈夫だ。



組手や剣道で相手を打ち負かすことが出来る僕だ。
1人で登校くらいできる。
棘の行動は優しさによるもので、目が見えない僕を下に見ているからでない事は分かってる。
それでも、こうして棘に守られている自分自身の事を考えると惨めに感じる。




誰かを護って生きていきたいのに
誰かに護られないと普通に過ごせない
こんな事じゃ、呪術師として戦闘にすら赴けない。



…………こんなこと誰にも言えない。
棘には特に……






こんな気持ちもう終わりにしよう






無事高専にも着いた
鳥たちの鳴き声
木々が風に揺れる音
太陽暖かさが心地よい。




きっとここは自然に囲まれた場所なんだろうな。
すごく心地がいい。





棘に引かれるままに教室に入る。



教室はシンとしていた


僕ら2人の呼吸音以外にも2人



酷く落ち着いている気配と、どこか獣のような気配。
……1年はこれだけ？





真ん中の席に案内され
とりあえず大人しく席に着く。

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