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紫耀「…………ごめんっ…また泣いちゃって……っ…」
自分の足を擦りながら涙を流す紫耀の姿を、私は一生背負っていかなければならないと強く思った。
これは……やっぱり私のせいなんだ。
紫耀「……お医者さんの前では…っ、平気なふりしたけど…やっぱりダメだ…。車椅子生活とか……俺一人で生きていける自信ないよ………」
“こんなことになるなら、Aを助けなければよかった”
そう彼が言いそうな気がして、私の口は思わず先走ってしまった。
『………私にできること、なんでもするから…。紫耀に助けてもらった命で……紫耀のことを助けられるなら…』
“紫耀に助けてもらった命”
自然に出てきたその言葉は、また一つ私を縛る呪文となる。
紫耀「………ほんと…に?」
『…………私が…償わないと、おかしくなっちゃう』
こんなに弱ってる紫耀を見せられたら……
辛い現実に涙する彼を見せられたら………。
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紫耀「…………じゃあ…俺の足になってくれる…?」
『…………紫耀の足…?』
紫耀「………どこに行くときも俺の車椅子を押してほしい。日々の生活も支えてほしい。毎日一緒にいてほしい」
紫耀の声は、私の意識をどこかにもっていってしまいそうだった。
紫耀「…………そのくらいの覚悟で、“なんでもやる”って言ったんでしょ?俺の人生がAのせいで壊されたって思うなら……、」
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紫耀「……その人生、Aが責任もって立て直してよ」
ハスキーなのにどこか甘い紫耀の声は、さっきまで弱々しかったのに今はもうすっかりいつもの調子で。
でもそんなことも気にならないくらい、彼の言葉に私は何も言い返せずにいた。
私のせいで壊した紫耀の人生を、私が立て直すのは……当たり前。
紫耀は余裕そうな笑みを見せてから、酸素マスクを外して私の顔をギュッと自分の方に引き寄せた。
そして、重ねられた唇。
紫耀「………A、俺と結婚しよ」
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スマイル(プロフ) - みさん» たくさん感想書いてくださり、ありがとうございます!廉くん派だったのですね…。でも、紫耀くんの愛の形も理解してくださったようでよかったです。占ツクは、もう1作品書いてから少し離れようと思っていますが、他の所で書く予定はありません! (2021年7月13日 22時) (レス) id: a3637b3af2 (このIDを非表示/違反報告)
み - 紫耀くんの深すぎる愛に、こういう愛の形もありなのかなと思いました。一方で廉くんの愛の形は優しくて純粋なものなのでそこも対比させてるのでしょうか。占ツクを離れてしまうのはすごく寂しいです。他の所で書いたりするのですか?もっとお話したいです。。 (2021年7月5日 21時) (レス) id: e5775862a0 (このIDを非表示/違反報告)
み - 完結お疲れ様でした!廉くん派だったので少し悲しいですが、主人公ちゃんが紫耀くんを選んだのも罪悪感からだけじゃなくてちゃんと愛があるからなのかなと思いました。仕組んだものだったというのは軽く鳥肌立ちました笑 題名とも繋がってなるほどなあと。 (2021年7月5日 21時) (レス) id: e5775862a0 (このIDを非表示/違反報告)
スマイル(プロフ) - みあさん» 大好きな作品と言っていただけて、嬉しいです!完結までお楽しみに! (2021年7月4日 13時) (レス) id: a3637b3af2 (このIDを非表示/違反報告)
スマイル(プロフ) - みさん» 1番大好きな作品になれて凄く嬉しいです!廉くんを選ぶのか、、?どうなるのでしょうか?完結をお楽しみに! (2021年7月4日 13時) (レス) id: a3637b3af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマイル | 作成日時:2021年4月30日 17時