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紫耀side 『』
物凄い雷鳴が轟く中、出張先で取引を行う俺は、Aのことが心配で仕方なかった。
あんな素っ気ない態度で家を出て来ちゃったけど、本当は……本当は……
“ブーブーブー………”
ポケットで振動するスマホ。部下からの連絡だろうと思い、一度スルーする。
だがその後、取引先の相手の方とうちの会社との契約についての話を進めている間に、何度かスマホが振動した。
『………すみません、少し席を外させていただいてもよろしいでしょうか…?』
「はい、大丈夫ですよ。」
あまりにも鳴りすぎるため、普段は絶対にしないが席を外させてもらう。
こんなに電話がかかってくるなんて、何の急用だ…?
通知画面を見ると、そこには会社の部下の名前ではなく、Aの見張りをさせているマンションの人の名前があった。
その通知の件数を見て、ただ事ではないことを察知し、急いで折り返しかける。
・
『………あっ…!どうした!?何があった!?』
「………それが…っ」
見張りの者の声の向こうでは、微かに聞こえるサイレンの音。
次第に速くなっていく心拍数。
「………申し訳ありませんっ。Aさんの行方が…分からなくなってしまいました…」
電話越しに何度も何度も謝ってくる見張りの者の声が、遠くの方で聞こえる。
俺は謝る、謝らないなんてどうでもよかった。そんなことなんて、、、どうでもいい。
・
・
俺は部屋に戻ると、取引先の相手に深くお辞儀をした。
『………申し訳ありませんっ。本日の取引を後日に回していただけないでしょうか…っ』
自分の体が勝手に動いて、気持ち悪い。取引を放り投げるなんて、絶対にしてはいけない。
早く、早く、早く……今の言葉を撤回しないと……そう思っているのに、俺の体はさらに暴走する。
相手の返事も待たずに、会議室を飛び出したんだ。走って走って………
大雨の中、必死に車を走らせる。Aが行方不明……?逃げ出した?んなことあっていいわけがない。
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スマイル(プロフ) - みさん» たくさん感想書いてくださり、ありがとうございます!廉くん派だったのですね…。でも、紫耀くんの愛の形も理解してくださったようでよかったです。占ツクは、もう1作品書いてから少し離れようと思っていますが、他の所で書く予定はありません! (2021年7月13日 22時) (レス) id: a3637b3af2 (このIDを非表示/違反報告)
み - 紫耀くんの深すぎる愛に、こういう愛の形もありなのかなと思いました。一方で廉くんの愛の形は優しくて純粋なものなのでそこも対比させてるのでしょうか。占ツクを離れてしまうのはすごく寂しいです。他の所で書いたりするのですか?もっとお話したいです。。 (2021年7月5日 21時) (レス) id: e5775862a0 (このIDを非表示/違反報告)
み - 完結お疲れ様でした!廉くん派だったので少し悲しいですが、主人公ちゃんが紫耀くんを選んだのも罪悪感からだけじゃなくてちゃんと愛があるからなのかなと思いました。仕組んだものだったというのは軽く鳥肌立ちました笑 題名とも繋がってなるほどなあと。 (2021年7月5日 21時) (レス) id: e5775862a0 (このIDを非表示/違反報告)
スマイル(プロフ) - みあさん» 大好きな作品と言っていただけて、嬉しいです!完結までお楽しみに! (2021年7月4日 13時) (レス) id: a3637b3af2 (このIDを非表示/違反報告)
スマイル(プロフ) - みさん» 1番大好きな作品になれて凄く嬉しいです!廉くんを選ぶのか、、?どうなるのでしょうか?完結をお楽しみに! (2021年7月4日 13時) (レス) id: a3637b3af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマイル | 作成日時:2021年4月30日 17時