呪縛彼氏 2 〜逃げられない束縛〜

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紫耀side『』







『こんなプランじゃダメ、もっかい考え直してきて』

「…………はい。」









目の前に置かれた資料をシュレッダーにかける。

部下が部屋から出ていき、髪をかきむしる俺。









なんで………なんで、こんなにうまくいかないんだろう。









会社のことも…………

Aのことも。









・









ファッション関係の俺の会社は、つい最近起業したライバル会社のせいでどんどん売り上げが下がってきていた。

まだそこの社長とは会ったことはないが、どうやら俺と同じくらいの年齢らしい。

しかも、起業して1ヵ月でファッション業界を轟かせるって……さすがの俺でもビビる。









・









顔を洗い、パッと鏡を見ると……全然優しそうでない俺の顔が目に入る。

なんなら、最近笑ってないからか、顔が固まったようにも感じた。









自分の顔を見れば見るほど、恐ろしくなる。

こんな顔でAに暴力を振るっているんだ。苦しめてるんだ。









自分は傷一つない顔、体をしているのに………

大好きな大好きすぎてどうしようもない彼女はアザだらけのボロボロな体。



顔だけは傷つけないようにしてる、なんて言ってもただの屁理屈にしか聞こえないよな。









・









Aが幼馴染みのあいつなんかに、あんな可愛い顔見せるのが悪いって……思い続けてきて…

束縛したら、暴力で押さえつけたら、俺だけのAにできる。

それが正しいって思ってたのに。









・









束縛や暴力、愛を一方的に押しつけてる夜の行為で成り立つ関係は

全然幸せじゃないってことに気づいた。








大好きな人への独占欲を、大好きな人の苦しむ顔で満たしていた俺は

彼氏失格どころじゃない、人間失格。









・









でも、Aを解放したら………多分彼女は俺から離れていってしまう。

だから、できない。









俺もAも、見えない愛と独占欲に縛られ続けることしか___________









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