Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ6)

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Episode38 -6 ページ6

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翔さんが警戒するみたいに私をすこし引き寄せる。

ふらり、私の身体が翔さんの方へ揺れると二宮さんの目に冷たい色が宿った。

「翔ちゃんの女嫌いの理由だよ」

「え？」

鼓膜を揺らした言葉に思わず声が漏れる。

翔さんの、女嫌いの理由？

それって百合亜さんを……あぁ違う、そもそも女性が嫌いだから翔さんは百合亜さんと出会うことになったんだ。

ぐるぐると考え出す私の横で翔さんが焦ったような声を上げる。

「やめろカズ」

「やっぱり知らないんだね」

きゅっと二宮さんが口角を上げる。

怪しく、どこか、楽しげに。

あれだけ大切にしている翔さんの取り乱したような声なんて聞こえていないみたいに。

「やめろってカズ」

「俺が教えてあげるよ」

こんな翔さんの声は初めて聴いた。

今までに聞いた怒りの暴発するような声でも、私を心配してくれた声とも違う。

明確な恐怖。

悲痛な叫び。

翔さんの手が私の手を乱暴に振り払った。

二宮さんを止めようとしているのか身体を伸ばして二宮さんに両手を伸ばす。

けれど二宮さんはひらりと身体を捻って立ち上がり翔さんの手を避ける。

「やめてくれカズっ！」

「翔ちゃんはね、母親に性的暴行を受けてたんだよ。中学の頃にね」

歌うように告げた二宮さんは、表情を失くした翔さんの顔を上から両手で包み込んだ。

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