Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ26)

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Episode41 -2 ページ26

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誰かにとって特別な一日だったとしても、世界はいつも通りの姿で回っている。

午前中のフラワー大野でもいつも通りの日常が広がっていた。

花を並べて、お客さんの注文通りに包んで、電話での予約を受けて。

そして、百合の花を触るたびに翔さんのことを思浮かべる。

今頃翔さんは検査中だろうか。

退院の前に簡単な検査や問診があるなんて言っていたけど、もしかして怠そうに受けてたりして。

文句を言う翔さんをちょっとだけ想像して思わず笑みがこぼれる。

「Aちゃん、嬉しそうだな。櫻井さん今日退院か」

「え、そんな顔してました？」

「おう、めちゃくちゃ」

「……仕事中にすみません」

「いいよいいよ。幸せそうで何よりだ」

「そう、ですね」

恥ずかしさもあるけれど、そう言われると結局嬉しくなってしまう。

この数か月いろいろなことがあったけど、翔さんと過ごした日々はどれも幸せで大切なものだ。

「早く迎えに行きたいだろ」

「はい。でも、まだ時間があるので」

智さんは今日は休みでもいいと言ってくれていたけど、何かしていないと落ち着かなそうだからと夕方まで出勤の予定にしてもらった。

翔さんの退院は四時ごろの予定で、車で来る二宮さんとは病院で落ち合うことになっている。

もしかしたら亜理紗ちゃんも一緒かもしれないと昨日二宮さんが言っていた。

お仕事が休めるよう交渉しているそうだ。

亜理紗ちゃんも大概翔さんのことが好きだよなぁと客観的に思ってみたりもする。

昼頃、お昼を食べようと裏に戻ると携帯に翔さんからの連絡が入っていた。

『予定通りの時間になりそうだ』

相変わらず飾り気のない文言だけど、翔さんの言葉に午前中の疲れが吹き飛ぶ。

もうじき、退院できる。

はやる気持ちを抑えるように『わかりました。私も予定の時間に行きますね』とだけ返事を入れた。

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