Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ23)

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Episode40 -6 ページ23

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なにもしないと自分で言ったように、二宮さんは私に指一本触れることもなければ、私の問いかけに応える以外に何かを話すこともしなかった。

気が付けばお会計が済んでいて、二人肩を並べてお店への道を歩いていた。

まるで送り迎えをしてもらっていた頃のようで、それでいてそのころとは何もかもが違う。

隣を歩く二宮さんはコートのポケットに両手をつっこんで空を見上げながら歩いていた。

以前の二宮さんはいつも私の少し前を歩いていた。

だけど今はなぜか私の歩調に合わせて歩いている。

その変化に何があるのかわからなくて。

だけど隣を、私は文句も言わずに歩いている。

もっと、二宮さんのことが怖くて仕方なくなるかと思っていた。

なのに思いのほか、私の心は二宮さんを拒絶しない。

同じ歩幅で歩く二宮さんの歩調は、私とそう変わらないのではないかと考えてしまうからだった。

狂気のような想いだとしても、間違ったことだったとしても。

起こった事実は変わらなくて、過ぎた過去は戻らない。

二宮さんが私の質問にただ淡々と答えたのは、それが起こった事実に他ならないからなのかもしれない。

二宮さんは翔さんとの約束を…翔さんを、守るためならば手段を選ばない人だ。

それでいて、二宮さんにとって翔さんを守るための行為はすべて是であって、悪いことだとは思っていない。

だからこそ、二宮さんはよどみなく答える。

今回のことも、百合亜さんのことも、間違ったことではないから。

大切な誰かを守るために必要だったことだから。

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