Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ39)

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Episode42 -5 ページ39

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どうして私の周りには、こんなに優しい人ばかりがあふれているのだろうか。

だから雅紀くんには、泣いてほしくなかった。

涙もろい人だと、私は知っているから。

「大丈夫だよ雅紀くん。翔さんはね、私にとって運命じゃなかったの」

「！」

びくりと、雅紀くんの肩が跳ねた。

ゆうらり、恐る恐ると言ったように雅紀くんがこちらを向く。

今にも泣きそうな顔をしている雅紀くんに、私は精一杯の笑顔で笑いかけた。

「だから、私大丈夫だよ」

そう、運命ではなかった、それだけの話だ。

昨日翔さんと話し合った通り。

ただ、それだけ。

「ねぇ雅紀くん……私、大丈夫だよね」

笑っているつもりなのに、目の奥が熱くなる。

泣いちゃだめだ。

雅紀くんが心配しちゃう。

無理やり涙を飲み込んで引きつりそうな口角を上げた。

「……ん、うん……Aは、大丈夫だよ」

雅紀くんが自分の目をごしごしとこすってから、下手な笑顔でそう言った。

それから私に手を伸ばして、骨ばった指で私の頬をふにとつまむ。

「ほら、ちゃんと笑えてる」

その指が、ついでに頬にこぼれた涙を拭っていった。

また泣きそうになる私に、雅紀くんがいつもの笑顔で笑いかける。

「お嬢様、ご注文は？」

「……ふふ」

お道化て問いかける雅紀くんに自然と笑みがこぼれた。

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