Episode32 -4 ページ43
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デザートお持ちしますねと従業員がお皿を片付けて行ったあと。
三人がのぞき込んでいるのは徳井さんのスマホで撮って私のスマホに転送してもらった例の女性の写真である。
「翔さんに…というか、百合耶さんに振られた腹いせだと言っていたんですが…心当たりはありますか？」
翔さんはじっとスマホに映った女性を見つめている。
「……まぁ、翔ちゃんの自業自得と言えば自業自得だけどね」
ため息交じりにそういう二宮さんと。
「お兄ちゃんそんな言い方…今更じゃない」
肩をすくめてそういう亜理紗ちゃんと。
「お前らな…」
低い声を吐き出す翔さんと。
三者三様の反応を見ながら私は何となく緊張して水のグラスに手を伸ばす。
冷たい水が喉を滑り落ちる時間すらゆっくりに感じられる。
「……まぁでも、たぶん、あの女だ」
「お心当たりあるんですか？」
曖昧な顔しながらため息を吐く翔さんは私の顔を見て申し訳なさそうに眉間にしわを寄せた。
整った顔がぎゅっとしかめられて、ちょっとだけ怖い。
「何か月か前…あぁ、もう五か月は前か……に振った客の女だ」
「ほら、前に話題したことなかったっけ？翔ちゃんが久々に本気だったやつ」
「しつこいから夢見せてやっただけだって言っただろ」
「ごめんごめんそうだった。俺が戸羽さんに会ったクリスマスイブの焼肉屋、覚えてるでしょ？あの頃から三か月くらい前の話なんだよ」
「…あっ」
冗談交じりに笑いながら言う二宮さんの言葉に記憶を探っていた私は、遠い日の会話を思い出した。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月1日 10時
