Episode32 -2 ページ41
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二宮兄妹がそろうとまずは夕飯、ということになった。
夕飯のコース懐石を食べながら他愛もない話が続く。
「そういえば翔ちゃん、戸羽さんとデートとか行ったの」
「は？」
急に二宮さんが投げかけた言葉に翔さんが怪訝そうな声を出して動きを止めた。
持ち上げかけていた和牛のローストが空中で停止する。
「いやだって、毎日仕事仕事じゃん、二人ともだけど」
「え、私もですか？」
「確かになぁ、Aさんもいつも仕事してる気がする」
「社会人だから当然だろ」
つまらなそうに吐き出す翔さんに私はコクコクと首を縦に振って同意する。
毎日仕事だもの。何もおかしくなんてないはず。
そしたら二宮さんが呆れたようなため息をついた。
「そういうとこだよ、二人とも真面目だねぇ」
「似てるよね翔くんとAさんって」
「そうか？」
「そうですか？」
つい声を出したら翔さんと言葉が被った。
顔を見合わせて、どちらからともなく笑みが漏れる。
「ほら似てる」
亜理紗ちゃんがくすくすと笑っている。
「まぁ大人なんだし、口出すのもあれだけどね」
「でもでも、デートくらい行きたいでしょ？Aさん」
「えっ、私に聞くの？」
「だって女の子の意見が大事じゃない」
亜理紗ちゃんは楽しそうに言いながら最後の和牛のローストを口に放り込む。
「おいしー」と幸せそうに言いながらもその目は期待するように私に向けられていた。
「でも…その……」
翔さんが忙しいのは分かっているし。
こう見えて実は花屋というのも忙しかったりするし。
そりゃあ智さんに聞けば融通してくれるかもしれないけど、せっかくお休みできる休日に翔さんの時間を割いてもらうのは悪い気がするし。
そんなことをぐるぐる考えながら私は言葉を探す。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月1日 10時
