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Episode31 -4 ページ37
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柚木での食事を終えて流れで徳井さんと一緒にお店を出て歩き出す。
「この後会社に戻られるんですか」
「ええ。今日はちょっと足伸ばしてここまで来たので、急いで帰らないと」
「会社遠いんですか？」
「そういうわけではないですけど、駅の向こう側なので」
「あぁ、あっちの方はオフィス街ですもんね」
駅の方へと歩きながら私たちはなんてことない会話を交わす。
よく考えてみると、翔さんと深くかかわるようになってから知り合いが増えた。
二宮さんや亜理紗ちゃんを筆頭に、理子さんや徳井さん、松本さんも。
私の世界というものは智くんと兄と雅紀くんで構成されているようなシンプルで小さなものだったけど。
こうしてみるとだいぶ広がったものだ。
臆病な私にはなかなか機会がなかったけれど、こうして広がった世界というのは存外、悪くはないものだと思う。
「そうだ、先日買った薔薇すごくよかったです」
「本当ですか？それはよかった」
ピンク色の薔薇の花が脳裏で揺れる。
遠い日に床に散らした真っ赤なそれとはまた違う、可愛らしい色が。
「あの薔薇、徳井さんにお似合いですよね」
「そうですか？嬉しいです、薔薇好きなので」
微笑む彼女はとても可愛らしい。
雅紀くんが女性相手にお姉さんなんて呼び方をするのはいつものことなんだけど、そう言われてみると徳井さんは私や雅紀くんより少し年上かもしれないなとふと思う。
整った顔立ちのおかげか雰囲気は若いけれど。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月1日 10時
