Lillyの王様 ×five×《ars/s.s》 (ページ6)

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Episode26 -6 ページ6

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「いらっしゃいませ！あ、翔くん…と、あれ、Aさん？」

出迎えてくれた亜理紗ちゃんが私を見て首をかしげる。

それもそうだろう。

(亜理)紗ちゃんは私ではなくお客さんとくるのだと思っていたはずである。

「ドタキャンになった」

「あぁ、そういう」

納得したように声を出すと亜理紗ちゃんが店の奥を指す。

「じゃあ、ご案内します」

亜理紗ちゃんに続いて店の奥へ。

以前と同じ個室に案内されたから、やはりこの部屋が翔さんのいつも使う場所なのだろう。

預けるために上着を脱いでいると向かいで翔さんが亜理紗ちゃんへと向き直った。

「そうだ亜理紗、これやる」

そして手にしていた百合の花束を雑に差し出す。

本来はお客さんに渡すはずだったものだ。

「え、いいの？やったぁLillyの花束だ！」

きらっと亜理紗ちゃんの目が輝く。

その言葉に私は首を傾げた。

「Lillyの花束…？」

私のつぶやきを拾った二人がこちらを向く。

微妙な顔をする翔さんと対照的に亜理紗ちゃんはキラキラした笑顔を浮かべている。

「そっか、Aさんは知らないんだね。これはね、翔くんがお客さんに渡してる百合の花束で、Lillyの花束って呼ばれてるんだよ。ほら、タグもついてる」

私のところまできた亜理紗ちゃんは花に括りつけられたタグを私へと見せてくれた。

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