Episode13 -4 ページ14
.
繋がれていた手は賽銭箱の前まで来るとするりと解けて離れていった。
ちらっと翔さんを見上げたら目が合って、つい逸らす。
「なに、繋いだまま賽銭したいのか」
「そんなこと言ってません」
「ふふ」
翔さんが、笑う。
以前のように常に王子様然とした笑顔を浮かべているわけではない。
だからこそ、翔さんが普通に笑うことがすごく嬉しくて、私もつい笑顔になってしまう。
お賽銭を投げ入れて、二礼二拍手。
パンパンと手を打ち鳴らした後、目を閉じてねがいごとを心の中で唱える。
翔さんが笑顔でいられますように。
翔さんがこれ以上苦しまずに済みますように。
翔さんが幸せでありますように。
もし叶うのならば、その隣に私もいられますように。
それと、今年もよいご縁に恵まれますように。
しっかりと、お祈りをして目を開ける。
翔さんはすでに列を外れていて、一礼した後急いで翔さんのもとに駆け寄る。
「時間かかってすみません」
「いや、何をそんなに一生懸命願ってたわけ」
「えーっと……秘密、です」
「……」
「そんなに見ても秘密です！」
「……なんだ、つれないな」
ニヤリと口角を上げて笑った翔さんが私をのぞき込むようにしていた上半身を起こす。
つれない、なんて、思ってなさそうだ。
それがちょっと悔しくて、ダウンジャケットのポケットに戻ろうとしていた手のひらを掴んでみる。
「翔さんのこと、ですよ？」
引かれないかなって少しドキドキしながらそう言えば、翔さんが息をのんで瞬きをする。
「…そーかよ」
息のような声を吐き出す翔さんの口元が優しく弧を描いていて、掴んだ手の指が絡められたからきゅっと握り返す。
少しでも伝わったかな。
伝わってたら、いいな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 951人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
iCHiKA(プロフ) - ほのかさん» コメントありがとうございます。ドキドキ、キュンキュンしていただけてるとのことでそう言っていただけると安心します。お心遣い感謝いたします。のんびりになってしまいますが、今後ともお付き合いの方よろしくお願いいたします！ (2020年3月21日 22時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
ほのか - はじめまして！毎回ドキドキ、キュンキュンしながら読ませてもらっています！更新は主さんのペースで大丈夫ですので、続き楽しみにしていますね(*^_^*) (2020年3月21日 1時) (レス) id: df21e98da9 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - なるちゃんさん» コメントありがとうございます。一気読みとはありがとうございます！気に入っていただけたようで大変光栄です。引き続きお楽しみいただけるよう頑張りますのでお付き合いいただけましたら嬉しいです！ (2020年3月11日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - おもしろ過ぎて一気読みしました！今AM3時！眠れそうにない！続き楽しみにしていまーす！ (2020年3月11日 3時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年2月9日 11時
