Episode7 -6 ページ6
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お礼のお礼が終わる？
それは、これでもう、櫻井さんの喜ぶ顔を思い描きながらプレゼントを探す時間も、プレゼントを受け取った私に笑いかけてくれる櫻井さんの顔を見ることも、できなくなってしまうの？
ぎゅうと心臓が締め付けられる。指先から血の気が引いていくのが自分でもわかった。
この日々が、当たり前ではなくなってしまう。
……ちがう。
最初から、これは当たり前ではなかったのだ。
非日常が終わって、日常に戻るだけ。
それだけ、だけど。
そんなの…。
「その代わり、よかったらたまにランチでもどうですか」
「！」
伏せていた目を見開いて思わず櫻井さんを見る。
櫻井さんは変わらない笑顔をたたえたままこてんと小首をかしげた。
「ダメですか？」
相手を強く見つめるのも櫻井さんの癖なんだろうか。
その大きな目で見つめられると、心臓の音がうるさくなる。
冷えていた指先に熱が戻っていくのを感じながら、胸がいっぱいになってただこくりとうなずいた。
一歩、先へ進むたび。
一歩、過去から遠のいてしまうのなら。
進んでしまわない方がいいんじゃないかと考える時がある。
戻ることのない幸せを忘れてしまうのなら、いつまでもその幸せだけを抱いて生きていければいいんじゃないかと、思う時がある。
だけど人は、いつまでも立ち止まってはいられない。
私には、何歩先に進んでいても私が遅れていることに気が付くと走って戻ってきて私の名前を呼んでくれる人たちがいる。
臆病な私の腕を引いてくれる人がいる。
独りでいいと泣き喚いたとしても、泣き止むまで待ってくれる人がいる。
だけど今、私は自分の判断で一歩を踏み出した。
変わってしまうかもしれない日常が、変わらない過去を取り残してしまうのだとしても。
自分の手で変えられるかもしれない未来を、覗いてみたくなった。
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iCHiKA(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます。初めから読んでいただいているとのこととても光栄です。これ伝わるかなぁと思いながら書いてたシーンなんですが、そう言っていただけてよかったです！引き続きお楽しみいただけるよう頑張りますのでお付き合いの方よろしくお願いします。 (2020年2月5日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます。立ち上げ当初から読ませて頂いてたんですが、今回のシーン、ゾクゾクしました！素敵です。このお話がとても好きなので、更新楽しみにしてますね。 (2020年2月4日 20時) (レス) id: c24168ecda (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - あまさん» 続編にもお越しいただきありがとうございます！引き続きお付き合い願えれば嬉しいです。 (2019年12月29日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
あま - 移行お疲れ様です!!!これからも楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2019年12月29日 0時) (レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年12月27日 15時
