Episode10 -4 ページ34
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「自分で言うのもなんだけど俺はやたらと女に人気があった。気が付くと周りに誰かがいたし、まぁ、“リーダー”みたいな感じのあだ名だよ。何かとまとめる立場になることも多かったし」
前方の信号が点滅している。
櫻井さんの歩みのスピードが落ちた。
「そのうち、俺が女と付き合っては手酷く振ってるってのが周りにも知られるようになって、面白がった奴らがまさにキングだななんて言い出した。横暴な王様みたいだってな。別に興味ないし、やめるつもりもなかったし、好きなように呼ばせてたらそれが定着した。今でもそう呼ぶ奴はいくらかいる」
信号が変わる。
櫻井さんが私の腕を引いて少しだけ引き寄せた。
「あんまり離れると声張らなきゃいけなくなるだろ。面倒だ」
「……すみません」
無意識に少し距離をとっていたようだ。
腕と腕がくっつくくらいまで引き寄せられて、さらに緊張する。
「今は仕事があるからやらなくなったけど、女を振るために女と付き合ってたってのも、ほんとだ」
「！」
「どいつもこいつも好きだのなんだの、俺は嫌いだっていうのに。いちいち断るのもメンドーになって、付き合う代わりに手酷く振った。俺にとってはそれも遊びの一環だけどな」
なんと言葉を返していいかわからなくてちょっとうつむく。
女性の心をもてあそんでいた、ということなんだろうか。
「幻滅しただろ。俺は紳士でも何でもない。サイテーなやつだよ。悪かったとも、思ってない……いや、それは少し違うか。悪いとは思うけど、女がどう思おうが俺にはカンケーない」
冷たい声だった。
本当に、女の人が嫌いなんだ。
ヒシヒシとそれが伝わってくる。
憎しみすらこもったような、奥底から這い上がるような声だった。
「そんなわけで、俺は悪の王だからな、地獄で閻魔様に舌を抜かれるんだよ。そう言ったろ」
あっけらかんと言う櫻井さん。
ほんとうに、これが実際の櫻井さんなんだろう。
理想的な王子様の着ぐるみの中にいた、酷く冷たい王様。
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iCHiKA(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます。初めから読んでいただいているとのこととても光栄です。これ伝わるかなぁと思いながら書いてたシーンなんですが、そう言っていただけてよかったです！引き続きお楽しみいただけるよう頑張りますのでお付き合いの方よろしくお願いします。 (2020年2月5日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます。立ち上げ当初から読ませて頂いてたんですが、今回のシーン、ゾクゾクしました！素敵です。このお話がとても好きなので、更新楽しみにしてますね。 (2020年2月4日 20時) (レス) id: c24168ecda (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - あまさん» 続編にもお越しいただきありがとうございます！引き続きお付き合い願えれば嬉しいです。 (2019年12月29日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
あま - 移行お疲れ様です!!!これからも楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2019年12月29日 0時) (レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年12月27日 15時
