Episode7 -2 ページ2
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先にも言ったようにこの季節花屋は繁忙期だ。
朝から割と忙しく動き回ったその夜。
朝早かった分早めに帰っていいという智さんのおかげで私は九時過ぎにお店を出た。
駅に向かうイルミネーションに彩られる四車線の大通りはヘッドライトをつけた車がせわしなく行き来している。
平日の夜でもイルミネーションがきらびやかなこの通りはカップルが数多く歩いていた。
手をつないで寄り添いながら歩いていく男女につい昔を思い出す。
ああして最後に歩いたのは何年前の話か。
羨ましいなどというわけでは決してないけれど、戻らない温もりが歩き去っていくようで、ちょっとだけ悲しくなる。
そういえば大学一年生のクリスマスの季節に、智さんと雅紀くんが私の両側にくっついて遊園地のイルミネーションに連れ出してくれたことがあった。
煌びやかでカラフルな電飾なんかよりも、そんな二人のぬくもりに泣いたことがもう遠い昔の話みたいだ。
これは私が少しずつ前へと進んでいてその思い出から離れているだけなのか、それともただ単に時間が過ぎて忘れていく過程なのか。
できれば前者であってほしいけれど、それを大きな声と笑顔で肯定してくれる人は今ここにいない。
今頃はまだ仕事中かな。
この通りには駅に一番近い横断歩道から少し離れたところに歩道橋がかかっている。
なんでも来年取り壊す予定らしく、街からはどんどんあったものがなくなっていく。
まぁ、ただでさえあの歩道橋は普段使っている人がほとんどいないから明日無くなってしまったってきっと誰一人気にも留めないようなことなのかもしれないけれど。
そんな場所だからこそ、一人で静かに帰りたいときに私はたまにその歩道橋を使う。
エレベーターが備わっていないからただひたすら階段を上る。
登りきるとヘッドライトをつけた車がイルミネーションでライトアップされた木々の間をさっそうと走り抜けていくのがよく見える。
遠くに見えるビル群には明かりがついていて、日本人は働き者だなぁなんて思ってみたりする。
そうして歩道橋を反対側へと渡っていく途中、橋の淵に腕をかけて眼下に伸びる車の往来をのぞき込んでいる人を見つけた。
じっと動かずどこか一点を見つめている。
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iCHiKA(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます。初めから読んでいただいているとのこととても光栄です。これ伝わるかなぁと思いながら書いてたシーンなんですが、そう言っていただけてよかったです！引き続きお楽しみいただけるよう頑張りますのでお付き合いの方よろしくお願いします。 (2020年2月5日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます。立ち上げ当初から読ませて頂いてたんですが、今回のシーン、ゾクゾクしました！素敵です。このお話がとても好きなので、更新楽しみにしてますね。 (2020年2月4日 20時) (レス) id: c24168ecda (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - あまさん» 続編にもお越しいただきありがとうございます！引き続きお付き合い願えれば嬉しいです。 (2019年12月29日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
あま - 移行お疲れ様です!!!これからも楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2019年12月29日 0時) (レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年12月27日 15時
