8話 韓国戦 ページ10
代表になっての始めての試合。久し振りに立つグラウンド。心臓がドキドキしていた。
一応俺はFWなので、右サイドのトップの位置についた。
キックオフ後、瞬木が一気にドリブルで上がっていく。
「ふっ、なんだそのドリブルは？素人め！」
え、こいつら日本語喋れんの？そう心の中で言っている間に、瞬木はボールを取られていた。
そいつのドリブルは凄まじく、俺や相変わらず崩壊しているDFを突破していく。
そしてチュンユンがシュート体制に。
ってか神童！？いつのまにそんな後ろに？お前MFなのにめっちゃ下がってるやん。
チュンユンから放たれたシュートは、神童が見事蹴り返した。ダイレクトで合わせられるとは、流石。
「神童さん！ナイスディフェンス！」
松風と剣城が神童の元に寄る。何か話しているようだ。他の奴らとは話さないのか？
ボールはタッチラインを割り、韓国のスローイン。
松風のカットでボールが俺に渡る。しかしトラップした方向に敵が、すぐに取られてしまった。
「いかせるか！」
瞬木が一気に下がっていき、チュンユンのボールを奪い取ろうとするも、呆気なく躱されてしまう。
そしてそのままゴール前へ。もう1発シュートが放たれたが、これも神童が蹴り返す。
どうやら井吹と神童が何か揉めているようだ。多分神童のブロックについてだろう。
「神童さん…」
近くで雷門の3人が話している。
「言ったはずだ。敵のシュートは全て俺が止めると」
いや初耳なんですが？
「…けれど、やはり俺と天馬でゴールまで持ち込むのは厳しいですね…」
剣城が言う。
「だったら、俺も一緒に戦わせてほしい」
横から瞬木が言う。
「何…？」
「まだまだ君達のように世界に通用するレベルじゃないのはわかってる…。だけど、ちょっとでも君達に近づきたい。だから、俺にサッカーを教えてほしいんだ！…試合中に頼むことじゃないけどね」
「瞬木…わかったよ、やろう！」
「…俺も一緒にやらせてほしい」
俺が言う。
「橋田…？」
「アンタ達は俺がまるで使えない奴だと思っているのはわかってる。実際にそうだからな。…でも、俺だってサッカーやりたい。絶対にこの試合、得点に絡んでみせる。だから、一緒にやらせてくれ！」
少しの沈黙が続く。
「…やってみる価値はあるか」
「………仕方ない」
「ありがとう…！」
「そうこなくっちゃな」
せっかくグラウンドに立てたんだ、何もしないで終わらせられるかよ！
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作者名：名無 | 作成日時：2020年1月30日 21時
