17話 覚醒 ページ19
「野咲は、他の人より目立とうとしているような気がする。自分を上げて他の人を下げるって感じか？」
「成る程、自己中心的な考えをしていると」
「自分の自己満足か、それとも…」
「…それとも？」
「誰かに変なプレーを見せたら恥ずかしいから、か？」
俺にはよく分かる。小学生の頃、親が試合を観に来ていた。
自分がミスをすると、後で指摘されてしまう。だから変にミスをしないようプレーしていた。
ハーフタイムが終わり、選手はポジションにつく。ムードは最悪だ。
後半開始。
「ワンダートラップ！」
いやお前奪うの早すぎだろ、もうそれ毎回やればよくね？
松風から瞬木へのパスが通r―
野咲がカットした。瞬木が野咲に何か言っている。
しかしその直後に、相手DFのウィリー・ウィリーが決まる。野咲は転倒するも、すぐに立ち上がった。
野咲の必死のディフェンス、しかしあっさり躱される。
そして相手の必殺シュート、メガロドンが炸裂する。サメ怖い
「絶対止める！うおおおおお！！」
井吹が飛び上がった。
「ちょ、ゴールガラ空きだよ！？」
俺がつい叫ぶ。
「ワイルドダンク！！」
ボールは地中に埋まり、ゴールラインを超える事はなかった。大きな掌の跡がグラウンドに残る。
「あの土壇場で…必殺技だと…？」
俺が一番驚いているかもしれない。確かに井吹は練習でもバスケみたいな動きはしてたが…
俺もそのうちできるようになるのかな。
しかしそんな好ムードはすぐに終わった。鉄角達が野咲と何か話している。ベンチだからよく聞こえねーよ！
松風が野咲を説得したようだ。流石キャプテン。
…ちょっと出しゃばってたような気もするが。
その後、野咲の動きが改善された。鮮やかな動きで相手を突破する。この前初心者だった奴とは思えねえ。
野咲がゴール前。シュート体制に入っt…
野咲が瞬木にパス。足元に綺麗に通った。
ここで瞬木がシュート体制に。
「パルクール、アタック！」
空中ジャンプをしての高所からのシュート。空中ジャンプって、ス○ブラか？
「クロコダイルファング！」
あの高低差があっても、相手のキーパーは反応した。
しかし、ボールはその両腕を弾き、ゴールへ。
「決めたぞーー！」
瞬木が叫ぶ。そりゃ喜ばしいだろう。同点への1点。それと同時に、自分に新たな必殺技が身についたのだから。
しかし、そのアシストをした野咲はあまり喜んでないようだった。観客席を見つめている。
字数
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無 | 作成日時：2020年1月30日 21時
