少年の内に眠るモノ。予選編(イナギャラ) (ページ17)

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15話鉄角の決断ページ17

松風が皆と話している。きっと皆を説得を試みているのだろうが、皆その契約が果たされるなら受けるだろう。

しかし、説得に失敗したようだ。悲しそうな顔をしながら、松風が俺を問う。

「…橋田は試験を受けるの？」

「……んいや。受けないね」

「橋田…！」

「俺は契約があるからここにいる訳じゃねーし、何しろサッカーができるからな。世界で活躍する俺の姿を先輩達に見せてやりたいんだよ」

「よかった…」

安堵の表情。だが俺の予想では過半数は受けるだろう。そんな状態で試合はできるのか？

「みんな…本当にこれでいいの？…ここでやめて後悔しないの…？」

「しませんね。サッカーは僕にとって何の意味もありませんから」

「そろそろ試験が始まる時間のようだね」

「さっさと済ませちゃおうっと。行きましょ」

シーサイドスタジアム

…脱退試験に観客いるか？カメラもたくさん。なるほど、このたくさんの人の前ならミスはできないと。監督もエグい事考えるねぇ

「それでは、これから皆さんにイナズマジャパンの精鋭による華麗なシュートをご覧に入れましょう！無論ウォーミングアップにすぎませんが、これを機会にどうか選手達の顔を覚えてやってください。そしてこれから先、彼らの今の姿をその目に焼き付けて思い出してやってください。彼らは日本の誇りなのですから！」

おいもうやめてやれ、他の奴らが恥ずかしくなるだろ！w

最初は鉄角。

っておい、左にぶっ飛ばしやがったこいつ。この大観衆に見られてる中でも恥ずかしくないのか？

松風が鉄角に叫ぶ。

うお、めっちゃ曲がった！

今度はクロスバーの上を大きく超えた。

また左にぶっ飛んた。

最後の1本。

「鉄角ーーっ！」

松風が叫ぶ。

「鉄角っ…！本当に、これでいいのかっ！？」

観客席のガキが鉄角にも叫んでいる。

最後に1本を蹴る前に、鉄角は何か独り言を言っているようだ。

覚悟を決めたのか、ついに走りだした。

数秒後、俺が見たのは意外な光景だった。

ボールがゴールの内に収まる。大歓声が沸き起こった。

他の皆が動揺している。どうやら俺を含む皆が外すと思っていたようだ。

「これが、見守る者の力…」

あっ、やっぱりこの観客の力なのね。

その後、何を思ったのか全員シュートを決めた。誰も脱退しなかった。

「…結局、脱落者はなしか」

「これが応援する言葉の力だ。サポーターの、そして仲間のな」

そして、二回戦への猛特訓は始まった。