怖がらないで水瀬さん【knmc】 (ページ6)

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すれ違いが5回。ページ6

※少し時間戻ります。
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剣持くんのお弁当袋を見つけて届けようと武道館に向かったはいいものの、私は外に立ってどう渡すべきかを真剣に考えていた。

まじでどうしよ…あれ(教室でのこと)の後に話しかけるのは難しいよ…やっぱり帰ろうかな(泣)

扉の辺りを行ったり来たりしながらどうしようか真剣に悩んでいると、急に誰かの怒声が聞こえてきた。

換気のためか窓がちゃんと開いていたため、怒られている相手が剣持くんだということもわかってしまった。その怒声のあとすぐに、誰かがこっちに向かってきている音がした。

出てくるのがさっきの大きな声の先生で、出待ちとか疑われて怒られたらどうしよう！？(泣)

なんて半泣きになりながら焦っていると、扉が開いた。

その扉の先には＿＿＿＿

「どうしてここに…？」

＿＿＿＿＿＿＿剣持くんがいた。

ついさっきまで泣きそうなほど焦っていたため、彼が神様のように見えた。

よかった…なんて思いながら彼を見ると、「少し移動しませんか？」と提案されたので、とりあえず頷いて2人で少し離れたところに移動した。

グラウンドからの声も遠くなり、二人の間に静寂が訪れる。

先に口を開いたのは剣持くんの方だった。

「あの…水瀬さん……？」

『…は、はい…どうかしました、か……？』

急に話しかけられて、なんて言おうとしていたのか思い出せなくなってしまった。どうしよう…何しようとしてたんだっけ……そうだ、！お弁当袋！お弁当袋渡さなきゃ、！！

「『あの、！…あ、」』

なんで被るの！なんて言えばいいの！もう帰りたいよ…(泣)

「水瀬さん、先にどうぞ。」なんて譲られてしまえば、私から話すしかない。

『あの…教室にこれ……忘れてた、ので……』

「あ"ー！これ、忘れてきたことに気づいて焦ってたんです！ありがとうございます水瀬さん！！」

なんて爽やかな笑顔と共にお礼を言われてしまえば、さすがに少し恥ずかしい。私、お弁当袋を届けただけだよ…

「全部食べてはいますけど衛生的に良くないので気になってたんです、ほんとにありがとうございます！何かお礼しなきゃな…」

お礼！？お弁当袋届けただけなのに！？

『いやそんなっ、大丈夫ですほんとに！わ、私用事があるので帰ります！それでは！！』

私はそう言ってダッシュで逃げた。

そのとき彼がどんな顔をしていたのかなんて、見る暇もなかった。