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すれ違いが33回。 ページ34

まさか…全部声に出てっ…!?




そう理解した瞬間、全身が発熱したように熱くなって、





とにかく、ここから____彼の視界から出ていきたくて。







も、やだ……穴があったら入りたい……





とにかく必死に逃げようとしたけれど、男の人である剣持くんに力で叶うはずもなく。




立ち上がった彼に呆気なく引き寄せられて、抱きしめてこう言われた。








「逃げないで…怖がらないで、水瀬さん。」








_______呼吸が止まるような感覚がした。






距離が、近くて。緊張で心臓が飛び出てきそう。






少したって、距離をちょっと離されたかと思うと、するりと頬を撫でられて。




まるで愛おしいものを撫でるかのような手つきになんだか恥ずかしくなって、思わず顔を背ける。





すると、さっきまで微笑んでいた彼が意を決したようにこちらを向いて、まるで試合の前のときのような、そんな真剣な表情でこういった。







「僕も、好きですよ。」





と。







たった一言。けれどその一言は、私の全てを壊すのに十分だった。







『ダメ、なの。私じゃダメ…なのに、でも好き、で。嬉しい、けど…でも……どうしたら、いいの!私なんかじゃきっと…ダメ、だから……』








結局逃げることしか、自分を守ることしか出来ない私自身が1番醜くて、嫌になる。








今まで必死に隠してきた、自分の自信のなさも本音も、全てを乗せて涙を流しながら放ったその言葉に、彼はなんでもないことのようにこう返した。








「好き同士なら、それでいいじゃないですか。僕はあなたとの思いが通じた今、既に幸せですよ。幸せの形なんて、人それぞれじゃないですか。だから僕たちが幸せなら、それでいいんです。他人に強制されるものじゃないと僕は思います。
それに、水瀬さんはもう十分…可愛いです。思い違いでなければ、僕のために、努力してくれたんでしょう?それでもあなたがまだ先に進む自信がないと言うなら、僕はいつまでも待ちましょう。好きな人のためなら、僕は何だってしますよ。」







あぁ、本当に_______









彼には叶わない。








なんでもない事のように励ましてくれて、受け入れて、背中を押してくれる。






暖かくて、優しくて、面白くて、ちょっぴり意地悪な、








私の大好きな人。









きっと今が_______








あなたとの未来のために、進むときだ。

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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/  
作成日時:2023年9月14日 0時

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