怖がらないで水瀬さん【knmc】 (ページ33)

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すれ違いが32回。ページ33

今まで自覚してから、剣持君のことを思い浮かべることが増えていたけれど、あの日、また助けられてからずっと、彼の微笑みが頭から離れない。

しいちゃんに相談するといっそもう告白してしまえ、充分可愛くなっとるよ。なんて言われちゃったし…

正直に言えば、少し自信がついてきたのも確かではある。今まで何度か告白されたことがあったけれど、最近はなんだかその回数が少し増えたから、何となくだけどやっぱり可愛くなれてるのかな、なんて思ったり。

この間しいちゃんに相談に乗ってもらったお礼に、今日はクッキーを持っていった。いつもならカフェで奢るのがお返しになってたけど最近は剣持くんの部活が終わるの待ってたりしてあんまり行けてないからね…

昼休み、彼女にクッキーをあげたらすごく喜んでくれた。

放課後に、しいちゃんともう一人分、元から用意してあったクッキーを彼にも渡した。

すごく驚いてたけど嬉しそうに笑ってくれて私も嬉しかったなぁ。

本当に嬉しそうに、お礼を言ってすぐ開封してクッキーを食べ始めた彼を見ながら、

あぁ、私…

剣持くんのこと好きだなぁ。

なんて改めて思って。

でも同時に、彼が本当に私のことを好いてくれているのか分からなくなって。

彼は異性からも同性からも、色んな人から好かれていて。
それが羨ましく、眩しくもあって。

やっぱり、私なんかじゃダメだよね…

そう改めて自覚してしまって、不意に泣きそうになってしまった。

気づいたら、彼はクッキーを食べ終わっていて、こちらを驚いたように見つめていた。
泣きそうなの、バレちゃうな…とりあえずトイレにでもいって泣かないように……

そう思って席を立つと、パッと腕を引かれる。

何を言われるのか分からず少し身構えていると、彼の普段通りの優しくて暖かい声が聞こえた。

剣「ふふ、大丈夫ですよ。僕はそんなにあなたからかけ離れた存在じゃありませんよ？だから、そんなに眩しいような、遠いものを見るような目で見ないでください。だってほら、こんなに近い距離にいるでしょう？」

『…ふふ、ほんとだね…っ』

剣持くん、なんで分かったのかな…ほんとに…好きだなぁ、

なんて思いながら込み上げてきた涙を堪えていると、彼が頬を真っ赤にして大きく目を見開いて、こちらを見ている。

『剣持くん…？どうしたの……？』

剣「いや…っ、その……今、……」

え…？