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すれ違いが31回。 ページ32

「お前、俺の目の前で他の男の名前出すとかいい度胸じゃねえか。こっち来い。」

来るわけが無いと、分かっている。彼は今、部活をしているのだから。でも、誰かに助けて欲しいと思った時に、1番に思い出したのは剣持くんのことだった。

『だ、だれかっ!助けて…っ!!』

必死に叫びながら抵抗するけれど、いつもは何人かいるはずの人も全くおらず、男の人の力に私が叶う訳もなくて。

ズルズルと路地裏の方に引きずられて、もうダメだ…とギュッと目をつぶって諦めそうになったそのとき。

ふわりと逆の腕から引き寄せられて、元彼から身体を離された。
そして私の手を引いたであろう人から感じる、嗅ぎなれた清潔な香りとともに、暖かな体温に包まれた。


剣「間に合ってよかった!水瀬さん、迎えに来ましたよ……遅くなってすみません。怖かったでしょう、?でも、もう大丈夫ですよ。」


そう言われて、安心したからか涙が零れた。

けれど、続いて聞こえてきた彼の怒りの滲んだ声に思わず身がすくむ。


「…お前、誰。邪魔すんなよ。」

剣「人に尋ねるときはまず自分から、が礼儀なのでは?」

「うるせえ!さっさと応えろよ!!」

剣「僕と彼女の関係なんてそもそもあなたには関係の無いことですし、ましてあなたは、1度彼女を捨てていますよね?よくもまあ図々しくも復縁を迫るなんてことできましたね?しかも暴力をかさに立てて。彼女が不憫でなりません。嫌がられていたのに、気づけなかったのですか?無理やり教えこもうとでもしたのですか?諦めが悪い男というのは、本当に見苦しいですね。」

「おまえぇぇっ!」

剣持くんの、怒りと煽りを含んだ正論で完全に頭に血が上ってしまったらしい元彼が私を抱きしめている剣持くんに殴りかかった。もちろん私は正面にいたから、彼の拳が近づいてくる様子を見て_______




恐怖で意識を失ってしまった。





気づくとそこは近くの公園で、ガバッと起き上がったため頭がズキンと痛んだ。

剣「仮にも倒れたんだから、安静にしてください。」

『剣持くん…怪我はない、?巻き込んじゃって本当にごめん、』

剣「こういうときは、ありがとうでいいんですよ。」

『うん…ありがとう、剣持くん』

剣「ふふ、どういたしまして。」

『でも…どうしてあそこに、?』

剣「顧問に集中出来ていないと家に帰されてしまって。だから本当に偶然でした。大事になる前でよかったです。」


やっぱり剣持くんは、私のヒーローだ。

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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/  
作成日時:2023年9月14日 0時

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