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すれ違いが23回。 ページ24

2人きりの教室で、また、沈黙が訪れた。

ただ見つめあっているだけなのに、恥ずかしくて仕方がなくて、どんどん顔が赤くなるのを自覚する。
彼の手を離して両手で顔を隠そうとするけれど、また手を掴まれて優しく剥がされて、真っ赤な顔が彼に晒されてしまった。

剣「ふふ、水瀬さん、顔真っ赤じゃないですかww」

『だって!その、〜っ!見ないで!』

剣「照れたんですか?ふふ、可愛らしい反応ですね。」

その優しくて甘い目で見つめられると、なんだか本当に落ち着かない気分になる。

『もう、!帰ります!!!』

そう言って机に向かおうとすると、

剣「どうせなら、一緒に…一緒に帰りませんか?」

そう言われて驚いたけれど、不思議と嫌な気持ちはしなくて。

『い、いいですよ…』

剣「…!ありがとう!帰る準備ができたら教えてください。」

いいよ、と言った瞬間、彼の顔が嬉しそうに綻んで。私もなんだか嬉しくなった。最近の私は、剣持くんに心を動かされすぎている気がする。




準備をして、2人で並んで教室を出た。

たわいも無い話をして歩き、正門まで着いた時、彼が右に行くのか左に行くのか私には分からなくて立ち止まる。

『剣持くんは右に行くの?それとも左?』

剣「僕は右です。水瀬さんは?」

『私も右だよー!左の方に駅とかバス停あるし、右に行く人あんまりいないから同じ方向の人がいるのなんだか嬉しい!w』

2人とも同じ方向なことに驚きつつも、話しながら2人でまた並んで歩く。

剣「たしかに右側に行く人、少ないですよね。家、どの辺なんですか?」

『私は◯◯町!剣持くんは?』

剣「◯◯町なんですか!僕も同じです!」

『そうなの!?知らなかった…実はご近所さんだったりするのかなw』

剣「可能性はありますねw」

たわいも無い話をしているだけなのに自然と楽しい気持ちになれて、気づいたらお互い敬語もなくなっていて。あっという間に家に着いた。

『あ、私の家ここなんだよね。』

剣「通りはズレてますけど、ほんとに近いw」

『びっくりだよw今日は送ってくれてありがとう!また帰るタイミングあったら一緒に帰ろ!それじゃあお先に!おやすみなさい。』

剣「また明日!おやすみなさい、いい夢を。」

扉を開けて挨拶をして彼と別れて、ドアを閉めた途端、急になんだか恥ずかしくなってきて。

彼の、「おやすみなさい、いい夢を。」の声が頭から離れない。

なんだか私の事が好き、みたいな表情と声で。


『そんなわけ…ないよね。』

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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/  
作成日時:2023年9月14日 0時

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