怖がらないで水瀬さん【knmc】 (ページ22)

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すれ違いが21回。ページ22

「あとね、剣持くん、授業の時以外はずっと、あなたの様子を見に来ていたのよ。」

『…え？』

「チャイムがなるギリギリまで毎回来てずっとあなたを見守っていたのよ。私はあなた達2人の事情は知らないけれど、感謝くらいは伝えてあげてもいいと思うわよ。」

ずっと避けていたのに、来てくれていただなんて本当に嬉しくて、ちょっとだけ涙が出そうになった。

『…はい。ありがとう、ございます。』

「はい、終わり。剣持くんを呼んでもいいし、無理さえしなければ大丈夫そうだしもう少し休みたいとかが無ければ
もう夕方だし行っても大丈夫よ。」

そう言われて、すぐにお礼を伝えてベッドから降り、外に向かう。
どうしてか分からないけれど、なぜか無性に、剣持くんに会いたくなった。

外に出ると、ドアのとなりの壁にもたれかかって立つ剣持くんがいて、声をかけると

剣「あぁ、終わったんですか。大丈夫そうならよかったです。もう、無理はしないでくださいね。一緒に教室に帰りましょう。」

と優しい笑みを浮かべて言ってくれた。2人で並んで教室に向かう途中、

『…剣持くん、ありがとう。』

私も久々に彼に向かって笑みを浮かべて、そう伝えることが出来た。

教室に入って2人で黙々と帰る準備をしていると、教室の扉が開いて、3人の女の子が入ってきた。

その顔を見た時、本能的に身体が動いた。彼女達は…彼女達は、私に陰口を言ってきた、あの3人だったから。

あ………一緒にいるとこ見られたら…また、っ！

咄嗟に逃げようとした身体を引き止めたのは剣持くんで。
必死に抵抗するけれど彼は話してくれなくて、私なんかの力じゃ到底男性の彼には叶わないし、仕方がないと諦めたその時。

3人が、私に向かって頭を下げた。「ごめんなさい！」と、ご丁寧に口を揃えて。

驚愕してものも言えない私に、彼女達は次々と話を重ねて謝り始めた。

昔から剣持くんのファンで、ずっと推していたのに誰かのものになるのが許せなかったこと。
段々とその行動がエスカレートしていってしまい、彼と距離の近い女の子達皆に陰口を言ったり、時には手を出していたりもしていたこと。
そしてそのことをついに剣持くんに"注意"されてしまったこと。

許してくれなくていいから、謝らせてくれ、と。

最後の注意されたことを話す時、なんだか３人の体と声が震えていたけれど、きっと謝ることに対して緊張でもしていたのだろう。

私の答えは＿＿＿＿

『謝ってくれて、ありがとうございます。』