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すれ違いが2回。 ページ3

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突然だが、僕には好きな人がいる。


少し内気なタイプではあるが、とても可愛らしい人だ。





僕は今まで、自分が恋愛に関して悩むなんてこと想像したこともなかったし、実際に自分は言い寄られる側であったので、そうなったこともなかった。




けれどいざ蓋を開けてみればこの通り。




自分から話しかけるなんてこともできず、ただ毎日彼女を眺めているだけ。



奥手にも程があるだろ!!!!なんて声が今にも聞こえそうだが、これは仕方の無いことなのだ。



水瀬さんとは接点がほとんどなく、普段から気安く話しかけることのできるような相手でもないのだ。



毎日放課後に、2人きりになるまで待ったあと、静かな教室で水瀬さんを眺めては、もし話すとしたら何の話題がいいのかとか、どんな風に話しかけたら彼女と仲良くなれるかとか、そんな事ばかり考えている。



おかげで最近部活の時間がギリギリで、あの厳しい顧問に叱られかけることばかりである。



それでも放課後、部活の準備が始まる前。懲りずに今日も彼女を眺める。



なにか考え事でもしているのだろうか、少し俯いている彼女を視界に収める。



最初は可愛いな、とか、単純に眺めていただけだったのに段々と、あの目でこっちを見て欲しい。僕だけを見てくれればいいのに。なんて欲まみれになってきている思考には気付かないふりをする。



もし僕が今彼女に話しかけたら、彼女はどんな反応をするだろうか。



なんて考えが横切った時、彼女は何を思ったのか、急に僕の方にチラリと視線をよこしたのだ。








パチッ









目が合った。
息が止まるようだった。



パッチリとした綺麗な目が、僕を見ている。



いつも斜め後ろから眺めていたその顔を、こちらに向けていた。



一瞬全てがスローモーションにも見え、この時間が永遠に続くのではないか、なんて気になった。






けれどそれも一瞬のこと。
我に返った僕は何も言わす、彼女も何も言わない。



そんな気まずい空気に耐えきれず、僕は彼女からそっと視線を逸らしたのだった。



まさか、ずっと見つめていたのがバレていたのだろうか。



だとしたらほんっっっとうに恥ずかしい。



段々と赤くなっていく顔を自覚して、僕は思わず逃げるように教室を後にした。



彼女がどんな顔をしていたのかを、気にする余裕すらもなかった。

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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/  
作成日時:2023年9月14日 0時

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