すれ違いが19回。 ページ20
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その日は、朝練に行く時からずっと空が曇っていて、屋上で彼女と話したあの日のように、なんだかずっと不吉な感じがしていた。
2時間目、移動教室の時間にみんなが移動しようとしていた時、視界に入っていた水瀬さんが突然____
____崩れ落ちるように倒れた。
近くにいた男子が咄嗟に支えてくれたけれど、僕が助けられなかった、とかなんで倒れたんだ、とか色んなことを考えて頭が真っ白になって。
気づいたら、彼女を抱えたまま保健室に来ていた。
後で聞いた話ではあるが、どうやら僕は最初に支えていた男子から保健委員だから、と言って水瀬さんを引き取り、連れていったらしい。僕、保健委員でよかった。
保健室に彼女を届けてベッドにゆっくりと下ろす。
そのあと、養護教諭に話しかけると、「水瀬さんと付き合ってるのかしら?」と少しの笑みと共にド直球に聞かれて驚いた。
剣「…違いますよ。まだ僕の片思いだと思います。とは言っても、まだ気持ちも伝えられていないんですけどね…w」
「へぇ、いいじゃない。大事にしてあげなさいね。それで、この子が倒れた原因なんだけどね。
____おそらく、心労による過度なストレスで睡眠不足だと思うわ。何か悩み事とかがあったのかしら…
睡眠不足で倒れるほどのストレスなんて、なかなかないと思うのだけれど…」
おそらく、嫌味を言われてしまったことが、少なくとも引き金にはなっているのだろうと思った。
なんだかいつもよりあどけない表情で、けれど彼女の纏う、今までよりもどこかやつれた雰囲気と、隠しきれないクマに思わず胸が痛くなる。
____彼女の憂いを全て払ってあげられたらいいのに。
けれど少なくとも1つ、僕には彼女のために、そして自分のためにやるべきことがある。
絶対にケリをつけなければいけない。そう、彼女の顔を眺めながら、決意した。
その後も先生に彼女が頭を打っていないかや倒れた時の詳しい状況などのいくつかの確認を取られたり、来室カードなどを記入したりした。
それが終わると直ぐに、授業がもう始まっているから早く行けと追い出されてしまった。 心配だから残りたい、と粘ってみたものの、さすがに許してはくれなかった。
付き合ってるの?とか聞いてきたくせにそこは見逃してくれないのかよ……
なんて内心毒づきながら授業を受けに向かったが、一日中、僕の頭の中は水瀬さんでいっぱいだった。
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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/
作成日時:2023年9月14日 0時