すれ違いが18回。 ページ19
side:水瀬
あの屋上の日から何度か、あのトイレで嫌味を言ってきた子達にまた嫌味を言われてしまうことがあって。
しかも何故か、連絡先は全てブロックして消したはずの元彼からまたヨリを戻そう、なんて連絡も来て。さすがにありえないと思って既読も付けずに再びブロックして削除したけれど、何日も怖くて寝つきの悪い日が増えていた。
剣持くんは頼って、と言ってくれたけれど、迷惑をかけるなんてことできないし、
そんな日が続いていたからか、段々と体調は悪化するばかりで。メイクで隠していた、少し薄くできたクマにもしいちゃんには気づかれてしまって心配されてしまった。
『一応寝れてはいるし、大丈夫だよ。』
といったはものの正直に言えば結構きつい。でも、しいちゃんを心配させちゃった上に相談して迷惑かけるなんてこと、できないから……
剣持くんは私が一方的に避けてしまっていて。
申し訳ないと思ってはいるけど、顔を合わせるとなぜか胸がキュッとなって、ふつうに喋れなくなってしまうから。
普通じゃない自分を見られるのがなんだか恥ずかしくて、ついつい逃げてしまうんだ。今までこんなこと、あの元彼にもなったことなかったのに。
頼ってって言ってくれたのは本当に嬉しかったし、ほんとは頼る、というか相談するつもりだったのだけれど、嫌味を言ってくる子達が剣持くんのファンだと知ってから、なんだか告げ口みたいで嫌だなと思ってしまって躊躇っているのもある。
寝不足な状態で複雑な気持ちを抱えたまま何日も過ごしていたせいか、その日は朝からとても、体が重くて。それでも自分にムチを打ってなんとか学校に向かった。
自分がすっかり限界を迎えていたことには、目を向けないでいた。
side:knmc
その日は、朝からなんだか空がどんよりと曇っていた。
朝練に向かう途中、ふとまた彼女の事を思い出す。最近、体調が悪そうであった。まさか、またあいつらに何か言われているのだろうか。もし仮にそうであるなら、本当に許せない。
にしても、彼女の体調が心配だ。彼女はメイクや態度で上手く誤魔化しているつもりかもしれないが、クマができて日に日にやつれていることに僕はちゃんと気づいている。
頼って、とは言ったけれど今回の件は僕の過激なファンが起こしてしまったことだから、きっと告げ口のように感じて言い出せないのだろう。早く解決して彼女と話したい、なんて思っていた。
彼女が限界を迎えていることに、気づけないままで。
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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/
作成日時:2023年9月14日 0時