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すれ違いが15回。 ページ16

side:knmc


彼女に抵抗されるまでずっと抱きしめ合っていた僕らだけれど、結局お互い恥ずかしくなって身体を離し、顔を赤くしながら向かい合うことになった。


僕らは授業を抜け出して、一体何をしているのだろう。


そう思うとなんだか笑えてきて自然に、ふふ、と笑みがこぼれた。
彼女はそれを見て一瞬驚いたように目を見開いたけれど、そのあとすぐに僕のように笑えてきたみたいで、2人してしばらく笑い会うことになった。


____やっぱりあなたは、笑顔が似合いますね。




side:水瀬




彼は結局授業が終わるまで屋上で一緒にいてくれて。それがどれほど私にとっての救いだったか、彼はきっとまだ知らない。

彼と抱きしめ合ったり、笑いあったりしているとき、嬉しすぎて泣きそうだったのは私だけの秘密だ。
優しく手を差し伸べてくれた彼はまさにヒーローそのもので。本当に嬉しかった。

そのあと、なんとか目の赤みが取れて教室に戻り、何事もなかったかのように授業を受けた。

しいちゃんから連絡が来ていて、どうやら剣持くんが私の居場所を探していた時に連絡をしていたみたい。
友達になってから1度だけ、同じように気分が落ちたことがあって、そのとき支えてくれたのはしいちゃんだった。

力になれなくてごめんって言われちゃったけど、そんな風に声をかけてくれるからこそ、私は救われるのだから、気持ちだけでも十分嬉しい。

授業を受けたあとも、放課後彼と話しているときも、家について寝るまでの間もずっと、頭の中に木霊していた嫌な声は聞こえなくて。
屋上にいたときみたいな嫌な気分になることもなく、なんだかポエムみたいだけど、彼のおかげで私の中にある暗い闇に光が刺したような、そんな気分。


「僕を頼ってもいいんですよ。」


その一言が、私の支えになっている。

そんなことを考えていると自然と屋上での出来事や彼の姿を思い出して、顔が赤くなる。


布団の中で悶えていると、ふと、なんであんなに優しくしてくれたんだろう、という疑問が浮かび上がってきた。

彼のおかげで救われたし、嬉しかったけれど、彼が私に優しくする理由が思いつかなかった。

でも結局最後には、抱きしめられたときに感じた安心感とか、暖かかったなぁとか聞かれたら引かれてしまいそうな恥ずかしいことが頭に浮かんできて、ベッドの布団を頭から被って赤みが引くまで耐える羽目になった。

恩人にこんなことを思うなんて恥ずかしい。明日から合わせる顔がない……

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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/  
作成日時:2023年9月14日 0時

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