すれ違いが12回。(誤字修正) ページ13
最近、学校が楽しい。毎日のように放課後を待ち遠しく思っている。
最近は放課後だけじゃなく、休み時間や昼休みに話しかけたりしてくれて、たまにお弁当を一緒に食べたりもする。
ほんとにあのとき勇気出してよかった…こんなに仲良くなれる男友達は初めてだな、と彼との仲の深まりを感じて喜んでいた日の昼休み。
しいちゃんは委員会でおらず、1人でお昼を食べ午後に備えてトイレに行き個室に入っていると、外からこんな声が聞こえた。
「あの水瀬とかいうやつまじムカつく。剣持くんはみんなのものじゃん。」
「わかるー!あんなの、ほんとに相手にされてんの?wあいつ、全然可愛くないしw遊びだったりしてww」
「剣持くんがほんとにあいつのこと好きならさすがに趣味疑うよね。まじで理解できん。」
可愛くないってことは私自身よく分かっているし、剣持くんをもの扱いするのは許せないけど、でも、みんなのものだって暗黙の了解で成り立っていたのは私でも知っている。
____でも、私のせいで剣持くんが悪く言われるのは耐えられない。やっぱり、仲良くなるべきじゃ無かったのかもしれない。
私なんかじゃ釣り合わないってこと、私が1番わかっているのに。
そう思ったら、どうしても泣きたい気持ちになって。声が遠ざかったあとすぐ個室を出て手を洗い、外に出たはいいけれど、こんな顔で教室に行くわけにもいかないし。もうすぐ5限が始まってしまう。
どうしよう…
と迷いに迷った末、人生で初めて授業をサボることにした。
……こんな顔、しいちゃんにすら見せられない。
みんなに心配させちゃうかな…なんて思ったけれど、1度決めてしまえばなんだか吹っ切れたようにも感じた。
なんとなく屋上に向かい、体育座りになり柵を掴んで俯く。
さっきトイレで聞いたあの言葉が、元彼に言われた言葉が、ずっと頭の中で木霊していた。
本当は、なんとなく分かっていた。
彼が、私のことを好き…かもしれないこと。
私がずっと、1部の子に疎ましく思われていることも。
「可愛くないお前なんかと付き合って____」
「あいつ、全然可愛くないし____」
_____そんなの、私が1番わかってるよッ!
悲しくて、悔しくて、涙が出そうになる。
けれど、ここで泣いたら私の負けのような気がして。グッと堪えて上をむく。
少しの間、その状態で目を閉じていると、
「こんなところにいたんですか、水瀬さん」
今聞こえるはずのない、君の声が聞こえた。
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作者名:K | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/468/
作成日時:2023年9月14日 0時