怖がらないで水瀬さん【knmc】 (ページ11)

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すれ違いが10回。ページ11

次の日の放課後。
やはり二人きりになった教室で、私は彼隣の席に座っていた。

というのも、二人きりになって少し経ったあと、私は勇気をだして彼にこう言ったのだ。

『剣持くんって、しいちゃん…椎名さんと仲良い…ですよね……あの、昨日しいちゃんと遊んだ時に、話…聞いて。その…よければ、お話…してみませんか……』

と。顔が真っ赤になっていたと思うけれど、なんとか言い切ったし、彼と対面？するところまで行けた私、頑張ったよね……？(泣)

彼はと言うと、まず私が向かってきたことに対して、綺麗な緑の目を大きく開いて驚いていた。

私から話しかけるの初めてだもんなぁ、驚かせてごめんなさい……なんて赤くなった顔を隠すように俯きながら彼の返事を待つ。

また長い沈黙が訪れた。今度は、私も彼も、逃げなかった。

ずっと目を見開いて驚いているから、さすがに痺れを切らして、『あの…剣持、くん…？』と声をかけると、我に返ったように私を見て、耳を赤くしながら、

「あ…えっ…と、僕でよければ、喜んで。」

と返事をしてくれた。
そのあと、「その、隣…よければどうぞ、」と言われて座ったはいいものの、やっぱり会話は始まらなくてまた沈黙が訪れた。

話題は何一つ思いつかなくて、焦りながら何を話せば…！？なんて考えていると、不意に剣持くんがふふ、と笑いをこぼした。

なんだろう、と目を向けると、剣持くんは笑いながらこう言った。

「っふふ、w顔赤いのそんなに焦った顔してる人見た事ないですよwwそんなに焦らなくてもいいのにwww」

よほど私の赤面焦り顔がツボにハマったらしい。

『そういうのは言わないのがお約束なんじゃないの！？恥ずかしいなぁ…wあ、でも！剣持くんも耳赤くしてるのに爆笑してるから一緒みたいなもんだよ！ww』

「一緒ではないでしょうwwしかもあんなに焦った顔wwwほんとにwwww」

『もー！忘れてください！！！w』

爆笑されたのはなんだか納得いかないけれど、このひと笑いが一気に私たちの雰囲気を良くしてくれた。

そこから色々と話は弾み、剣持くんとは甘いものが好きなところとか、料理をするところとか、案外気が合うことが分かった。

話しているうちに彼のスマホのアラームが鳴った。どうやら部活の時間みたい。明日もまた話そう、と約束をして、彼が教室を出るタイミングで私も帰宅した。

あんなに気まずかった関係が嘘のように、あっという間に仲良くなれて。勇気、出してよかった……なんて思った。