続富豪刑事の護衛(仮) (ページ5)

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長テーブルに向かい合うようにして、大助と大統領は座った。
Aは話の邪魔をしないように、壁に向かおうとする。すると、大助は手首を掴み、横に座らせようとする。
横に座ることはできないが、立っているなら良いとAが言うと、納得した様に手を離した。
「我が国は未だに、伝統を盾に開発に反対する時代錯誤な連中が多い。そういった者たちの妨害に屈する事無く、国を発展させるためには是非とも君の力が必要だ」
「私は、祖母の名代に来たに過ぎませんので」
「だが、行く行くは君が、神戸家の後を継ぐんだろ？」
「いいえ。私が家を継ぐ事は決してありません」
「ああ、そうかね」
驚いたような、悔しそうにも見える表情をした大統領。だが一瞬のうちに表情を元に戻し、目の前にある料理に手を付け始めた。
「ところで、彼女とはどのような関係なんだ？」
大統領がAに目線を向ける。
「私の護衛ですが」
「女性がボディーガードとはね」
時代錯誤な連中がなどと言っていた癖に、性差別かよ。と思いながら、表情を変えずにその場をやり過ごした。

大助と大統領が食事を終えると、壇上に立つ。そこには、"Construction Agreement For Building New Dam in the Ragfan Region"と”Certificate”と書かれた紙が挟んであるフォルダーが置かれていた。
「これを機に、ポリアドルはさらに発展し、神戸家との結びつきは、ますます強固なものとなるだろう」
大統領がサインをするため、万年筆を紙に付ける時だった。
会場の前扉が大きく開き、一人の男が走ってきた。その後、SPのリーダーに何かを耳打ちすると、リーダーはこちらへ急いで来た。
「どうした」
「申し訳ありませんが、御二人にはこれより安全な場所へ移ってもらいます。こちらへ」
名前を呼ばれなかったAは、周囲の確認を行おうとした。しかし、大助にまたもや手首を掴まれ、一緒に行動する事となった。