続富豪刑事の護衛(仮) (ページ3)

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翌朝、大助とAはいつもより遅い時間に朝食を摂った。
「大助さん、Aさん。おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」
声が聞こえた方を見ると、喜久子が緊張したような顔をしてこちらを見ていた。
「今日は十二分、気を付けて下さいね」
「はい」
「わかりました」
それだけ言うと喜久子は廊下を歩いて行った。
「大助さん行きましょう」
「ああ」
二人はナプキンを畳み、皿の右上辺りに置くと立ち上がる。
長い廊下の先にはメルセデス・ベンツのAMUZA M61を彷彿させる白いリムジンが停まっている。
ドアの前で立つと、ドアが開く。
大助が先に入り、Aが続く。
室内は二人乗り専用になっており、運転席と客席は完全セパレートになっている。
車が発進して数分後、Aは清水に電話を掛ける。
『もしもし』
三コール目で声が聞こえた。
「部長、おはようございます」
『おはよう。Aちゃん、どうしたの？』
「今日の一課と合同警備、私と大助さん行けなくなりました」
『そうなの？』
「ソボの体調が良くなくて。一応佐伯さんにも伝えておきます」
『了解』
「急ですみません。では失礼します」
『また明日ね』
スマホからツーツーと聞こえ、耳から離す。そしてサ行から佐伯という文字を探す。
「おはようございます」
『おはようございます！』
「今日私と大助さん参加できなくなりました。すみません」
『体調不良ですか？』
「いえ。ソボの体調が良くないので」
『そうなんですね。了解です』
「すみません」
『大丈夫ですよ！』
「ありがとうございます。では失礼します」
『また明日！』
耳から離し、通話の終了ボタンを押す。
Aは慣れないスーツと、慣れない電話での報告により疲れていた。
「そんなに緊張しなくて良い」
「そうなんですけどね……未だに慣れないんですよね」
すると、大助は左手を差し出した。Aはその手に自分の右手を重ねる。