続富豪刑事の護衛(仮) (ページ17)

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時は過ぎ、いつもの出勤時間になっていた。
ソファーで寝ていた二人は、現対本部の人間が来る前に取調室に入った。
そこにはいつから座って居たのか、疲れ果てた井村がいた。
入口から真っ直ぐ行った所にあるメインテーブルに大助、扉すぐの右側、壁向きに設置されているサブテーブルにAが座る。
「よろしくお願いします」
Aは供述調書を作るために、パソコンを開く。
「では取り調べを開始します。まず、あなたには黙秘権があります。次に、偽証は偽証罪という犯罪です。よろしいですね」
「はい」
「では、質問します」
「御名前は」
「井村和子です」
「井村さん。昨晩、危険運転及び傷害致死の容疑で現行犯逮捕。間違いありませんね」
「違います！私は何も」
キーボードを叩き始めた音を聞いた大助は、取り調べを開始する。
「大使館で押収された毒ガス装置だが、あんたの会社が製造に関わっているな」
「どういうことです？私は、危険運転で……」
「カートリッジを扱う部署と、その責任者の名前は」
「知りません」
「今の答えの信頼度は」
「お答え出来ません」
「弁護士を呼んでください」
「カートリッジに使われている合金の素材は何だ」
「知りません！一体何の話……」
「神戸商事のポリアドル視点を使って、不正に輸入しているんだろう」
「弁護士を呼んでください。早く！」
Aはミラー越しに見ているであろう加藤に、“弁護士を呼べ“とジェスチャーする。
すると、大助は立ち上がる。その時、Aの袖を掴み、マジックミラーの前に立たせ、口の動きを読ませないようにする。
「神戸茂丸に会った事は」
「知りません、そんな人」
「では、神戸茂仁または、神戸真理恵に会った事は」
「ありません」
名前を聞いた途端、身体を少し跳ねさせたのには何か理由があるのかもしれない。
「戻っていいぞ」
Aは席へ戻る際、そこに居るであろう人達を睨む。