続富豪刑事の護衛(仮) (ページ16)

今日:8 hit、昨日:5 hit、合計:17,141 hit

check-6 ページ16

自身の痕跡はキレイに消し、血液はルミノール反応で極僅かに検出できる程度に掃除をした。着ていたスーツは勿体ないが、焼却炉で処分することにする。
「銭湯行きてーな。でも、こんな血塗れじゃダメか」
顔と髪の右半分には暗褐色の液体が付着しており、金属の臭いが全身から漂っている。
観念して警視庁で風呂に入ることにする。

大助から遅れること三十分、Aは警視庁に到着した。
ヒュスクにシャワー室までの防犯カメラ映像をループ再生にしてもらい、Aが記録されないようにする。
シャワーを浴び、全身の血液を落とした後、大助が居るであろう場所へ行く。
「――失礼します」
扉の右側に立っていると、大助が出てきた。
「まだ血生臭いぞ」
「気づくのは大助だけだと思うが」
「そうか。まあ良い、付いて来い」
左手を取ると、何も言わずに歩いて行く。
「待て。……大助！」
エレベーターに乗り、大助はエレベーターの電源を落とす。
扉が閉まった途端、腰に腕を回され、目で圧力をかけて来る。
「あー、服の上からなら……どうぞ」
肩を指さすと、容赦なく何度も、何度も噛みついてくる。
「痛ってー」
久しぶりの行為に思わず声を上げる。すると大助はAを見て震え、目に涙を溜める。
「怒らないから。久しぶりだったから、思わず声が出ただけだ」
しかし、未だに震えは収まらない。
「大助、こっちを見ろ。大助から離れることはないし、一人の時に死ぬこともない。死ぬとしたら大助に”死ね”と言われたときか、二人とも死ぬときだけだ」
そう言って、Aは抱きしめ返す。
「死ねなんて言わない。俺から離れないでくれ。もう、もう……」
どれぐらい時間が経ったのか、全く検討が付かないが大助はヒュスクにエレベーターの電源を入れさせる。
エレベーターが目的階に着くまでの間、大助がAから離れることはなかった。