続富豪刑事の護衛(仮) (ページ11)

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二人は、今日も朝から画面に張り付いていた。
装置をパニックルームから運び出す際の監視カメラ映像を再生。
一方または双方が気になったことがあれば、時折停止させる。
「ストップ。ズームアップ」
装置を拡大する。
「このカートリッジの製造元は」
「お答えできません」
「この装置の製造元は、水尾フューチャーテクノロジーですか」
「お答えできません」
「では、それを知る権限が与えられている者は誰だ」
「お答えできません」
「私たちにその権限がないのは何故ですか」
「お答えできません」
何度質問しようとも、ヒュスクは答えようとしない。
このままでは埒が明かなかない。
「プレイ」
映像を再生し、鍵になりそうなものを探していく。
映像を見ていると、エレベーターからヒールの音が近づいてくる。
「何か御調べですか」
鈴江が大助の右に立つ。
大助は鈴江の方を向き、Aは映像を見続けた。
「俺たちが閉じ込められていた時、どうやって危機を察知した」
「先に異変が起こったのは、Aさんのヒュスクからの通信が切れた事です。この日、Aさんが身につけていたヒュスクは旧型でしたから、時々起こるバグかと思っていました。ですが、そのあと強力な妨害電波が発生して、大助様の位置を見失ってしまって。……それで不安になって」
「ヒュスクからの連絡は」
「いえ。おそらく、ヒュスクとこちら側を繋いでいる周波数も干渉を受けていたので。……それが何か」
「いや」
大助は徐に立ち上がる。
「あの。何かお手伝いできることがあれば」
「必要ない」
そう言って、エレベーターへと歩いて行ってしまった。