君の隣が似合いたい【黒】 (ページ42)

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じりじりと肌が焼かれていく。

湿度は低いものの、
無風の今日は歩いているだけでも汗が額を伝う。

「「ごめん」」

ハモった。

「「…あ、」」

懐かしく感じるほど、最初の頃と同じ空気が漂っていた。

私が目黒を好いているっていう、訳分からない展開付きだけど。

「…ごめん、俺から先に言っていい？
Aちゃんの言うこと、想像つくから」

『…うん、いいよ』

言いたいことなんて纏まっていなかったから、
想像されても困るけど。

深呼吸をして、目黒は話し出した。

「俺さ、ちゃんと言ってもらわないと分かんない。
俺がなんかしたなら言って欲しいし、
彼氏…とか、できたらんなら言って欲しい」

『…』

「一緒に帰るのが迷惑なら、もうこれで最後にする」

どうして、こんなに真っ直ぐなんだろう。

「…だから、今Aちゃんが言おうとしてたことも、遠回しにじゃなくてそのまま言って欲しい」

立ち止まって、真っ直ぐにこっちを見ている。

「あ、"嫌い"っていうのはストレート過ぎるから
ちょっとビブラートに包んでもらって…」

『ビブラート…オブラートな』

「うわ、間違えた」

頭をかいて、あちゃー、なんて顔をした。

うける。

『…別に、嫌いじゃないよ』

「…まじ？」

『うん。
…ただ、色々あって、一緒に帰るのは…もう…』

「色々」

『うん、まあ、色々』

「…聞いちゃダメ？」

『…だめ』

「そっか」

言えるわけない。

言った方がややこしくならないかな、なんて考える余裕はなかった。

「じゃあ…Aちゃんは何言いかけてた？
嫌いって言われると思ってたんだけど」

『なわけ』

"遠回しにじゃなくてそのまま言って欲しい"らしいから、
そのまま言おうと思う。

『…目黒のことは、嫌いじゃないよ。
むしろ、好きだし、』

「…うん」

『でもあんまり近づけない。

…ほら、私が頑張ったって、目黒の隣が似合うようになるわけじゃないしさ』

『…だからさ、私のこと、』

『私のこと、諦めて？』

声、震えてなんかない。

手、冷たくなんてなってない。

「…無理」

背が高い。

顔を見れない私の視線は、

目黒のシャツの第二ボタンあたりだ。

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