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今日こそは、何か言おう。
一学期最終日。
今日こそは、何か伝えよう。
一言だけでも、
"嫌いになった訳じゃない"って。
「はいおはようー」
朝のホームルームが始まった。
視界に入るあのでかい背中を見つめて、何度目かのため息をつく。
…………
何か言おう。
何か、言おう。
『…なんも言えなかった…』
結局、言葉をかけられなかった。
それでも諦めきれなくて、昇降口の端っこに座っている。
「お、Aじゃん！」
『真理ちゃん』
「待ってるの？」
『そんなかんじ』
「そっか」
腕まくりをして圧倒的ギャルな真理ちゃんの視線が、私の手元のプリントに。
「え待って、今年補習あるの！？」
『はい、そうなんです…』
「鬼畜すぎん！？
夏休みも勉強しに学校くるとかダルすぎるでしょ…！」
『まあ、仕方ない…私が悪い…』
3年生は、絶賛受験期だ。
真理ちゃんは志望校に向けてめちゃめちゃ頑張っている。
私とは比べ物にならないくらい凄い。
「えぐ……おお吉田！」
「吉田じゃねーわ！深澤だわ！」
『深澤先輩お疲れ様です』
「お疲れ！あ、補習？」
『はい』
「Aちゃんもかー！
担当誰だろ？家庭科の先生だったら結構サボれるけど！笑」
「よっ、経験者！笑」
仲良いなあ。笑
何故か2人とも私と一緒に座って、雑談している。
「あ、Aちゃん、目黒待ってる？」
『…はい』
「さっきこっち向かってたからそろそろ来るよ。
俺ら行こうか」
「そだね。
A頑張れ。大丈夫」
『うん』
「じゃーね！」
『うん、ばいばい』
いつも通り、サッと手を繋いで歩いていった。
自然と上がる口角を押さえていると、
深澤先輩が言っていた通り、目黒が出てきた。
『…目黒』
「わ、Aちゃん」
久しぶりすぎて、どんな感じで話したらいいか分かんない。
『あのー、なんて言うの、』
「…一緒に帰る？」
『…はい』
「やった」
気まずくしてる私が
気まずそうにしてどーすんの。
また誰かに見られていたらどうしよう、なんて思ったけど、これから夏休みだ。
1度だけ、許して欲しい。
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作者名：MooN | 作成日時：2022年1月31日 20時
