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「……好きな奴でも、できた?」




『…は、?』




「…」





後ろの方の渡辺、変に勘がいいから困る。



目黒は目黒で、
机に突っ伏して聞き耳立ててるし。






『…いやべつに?』




「…それか、相川と付き合ってる?」




『相川って』




「体育祭で告られただろ」




『あの人相川って言うんだっけ。
あれ断ったし。てか告られてもないし』




「…!」




「なに、断ったの??」




『うん』






目黒の肩を叩いて、まだチャンスあるじゃん、とか言ってる。






え待って、
ここ1週間くらいローテーションだったの、それが理由…?






『どこまで一途なんだよ…』






小さく独り言を零すと、
さっきまで不貞腐れていた(?)目黒と目が合った。






「…Aちゃん」




『ん』




「誰かと付き合ったらすぐ言ってね、
恋人持ちに近づくとかはしたくないから」







良い奴すぎだろ。








『…ないと思うけど分かった、』







…はあ。





その"ないと思う"は、

目黒以外受け付けないっていうこと?




最近、自分で自分が分からない。







「あとこの際だから聞いとくけど、砂田は?」




『…砂田…あー、サッカー部の1年生』




「そう。絶対あいつA気にしてる」




『接点なくね』




「あるから」




『そうかな』




「砂田はどうも思ってないってことでいいですかね?」




『うん。
……え、なんで後ろの方の渡辺怒ってんの?』




「俺怒る理由ないだろ」




『ええ…?』




「翔太いいよ、どうしたの」






今度は後ろの方の渡辺が不貞腐れている。


座り直しながら"あのさあ"と呟いた。







「…お前ら、いつくっつくわけ!?」






他のお客さんが数人こっちを見ている。


みんな絶対"どんな喧嘩だよ"って思ってるわ。






『怒ってんじゃん』




「怒ってねえし」




『…怒ってないねそうだね。
それで、なんでそんなに前のめりなの』




「見ててムズムズすんだよ…。
A、目黒と付き合わない割には気に入ってんでしょ?」




「翔太」




「…まあ、俺別に関係ねえから、
言うのこれで最後にするけど」









「目黒がずっと
Aのこと好きでいるとは限んねえからな?」








ぐさ。







「…え、ずっと好きでいるよ?」




「お前は黙っとけ、超カッコイイこと言ったんだから」




「そうかごめん」






ぐさぐさぐさっ。(心に何かが刺さる音)

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作者名:MooN | 作成日時:2022年1月31日 20時

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