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『ほら、行こう』
「…ん」
頭にきてる後ろの方の渡辺を宥め、今度こそ教室へ向かう。
歩いている途中、階段の窓ガラスに映る自分を見て、あの3人組が言っていたことは間違ってないな、と思った。
流石に言い方は変えるけど、ブサイクだし目黒なんて似合わないし。
『…はあ…』
「…やっぱ気にしてんじゃん」
『気にしてはない。
私がもうちょい可愛ければいい話なのかなと思っただけ』
「ふうん。女子って大変だな」
『かもね』
そう言えば、後ろの方の渡辺も結構イケメンじゃない？
なんで私の周りってモテそうな人しかいない訳。勝手に気まずいんだが。
『後ろの方の渡辺って彼女とかいないの？』
「いねえ」
『好きな人とかいないの』
「いねえ」
『つまんな』
「じゃあAに彼氏や好きな奴はいるんですか」
『いません』
「つまんね」
『笑笑』
教室がある階に着いて、長い廊下を歩く。
「てか目黒は？
あんなずっとアピールされて好きになんねえの？」
『んー、分かんない。
可愛い子なんて溢れてるんだから他の子探せばいいのにって思う』
「ふはは。笑
だってよ目黒」
『…！？』
後ろに普通に目黒が歩いている。
「俺はAちゃんがいいの。何回言ったら分かるの」
ちょっと呆れ顔で覗き込んでくる目黒。
『まじでビックリした…無理…』
「ごめん。笑」
『はあ…用事は？終わったの』
「終わった」
『そう』
今度は3人で廊下を歩く。
目立ちたくないので、2人の1m後ろを、気配を消して。
「…あ！目黒くん！やっほ！」
あ、さっきの3人組だ。
あの話し方はどこへ行ったのやら。
可愛い声で目黒に話しかけている。
「目黒くん、お昼何食べたの？」
「んー、秘密」
「えーなんでー！」
目黒はあしらってるつもりなんだろうけど、クールキャラで通ってる。
私は何もできないのでノソノソ後ろをついて行くだけ。
「5限理科だって！」
「うん」
「目黒くんは理科好き？？」
「普通」
「そっかあ」
…可愛いのになあ。
裏を見ちゃうともうダメだ。
人間って結局こういうものなんだろうか。
『私先行ってるね』
後ろの方の渡辺に声をかけて教室の方に早歩きした。
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作者名：MooN | 作成日時：2022年1月31日 20時
