君の隣が似合いたい【黒】 (ページ2)

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『真理ちゃん』

「まじで暇すぎて来た！」

『そう。笑』

前田真理、私のお姉ちゃん的存在。

親同士が仲良くて、一個上なのに同い年みたいに話してくれる。

「今日も可愛いねえ？」

『はいありがとありがと』

「照れんなってー！笑」

『照れてないから。笑』

ゆるゆるのパーカーを羽織って、綺麗に巻かれたポニーテールを揺らす。

言葉使いからも分かるように、真理ちゃんはちょっとギャルだ。

「お、テクノくんやっほー」

「どうも。前田先輩、俺の名前知ってますか？」

「えー、しらね！笑」

「しらね、じゃないんすよ。そのあだ名辞めてくださいよ。笑」

「事実じゃあん」

こうやって、こいつと話していても睨まれない真理ちゃん。
明確な理由があるからね。

「真理ー！」

「おう鈴木！」

「鈴木じゃねーわ！深澤だよ！」

廊下から真理ちゃんの名前を叫ぶ、バスケ部のエース深澤先輩。

そう、真理ちゃんには彼氏がいる。

この高校に入った時に深澤先輩の一目惚れで告白され付き合ったらしく、3年生の今でもとても仲良しだ。

本当にお似合いな美男美女で、この高校の名物カップルみたいな感じ。

2人の関係性に憧れる人も多いし、"2人の間には浮気なんて有り得ない"という認識がある。
だから、コイツと話していても睨まれないって訳ね。めんどい仕組みだな。

「なにー！今Aと喋ってるんだけど！」

「おーAちゃん！やっほ！」

『あ、どーも』

「んで！なんの用！」

「委員会！」

「あーね！」

"Aとテクノくんじゃーねー！ "
と言い残して、嵐のように真理ちゃんは教室を出ていった。

「俺の名前はいつになったら覚えてくれるんだ」

『んー、真理ちゃんは気に入ったらもうずっとそれだからなあ』

「そうなんだ」

『深澤先輩のこともずっと好きだもん』

「なるほど。…あ、今普通に話せた」

『うわだる…』

「そんな顔しないの。笑
いいじゃんその調子だよ」

『なんで励まされてんだよ…』

本に視線を戻して、貴方とは関わりたくありませんアピールをしてみると、それは伝わったらしい。
つまらなそうに口を尖らせて、また寝始めた。

相変わらず女子の視線が怖いけど、気にしないことにした。

だって、私なにも悪くないもん。

悪いのは全部、意味不明なコイツだもん。

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