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「おかえり…?」
『…ただいま、』
帰るって言っておいて電車で会ったりしたら気まずいから、
ってずっとプライドばっかりの自分に飽き飽きしてくる。
駅まで走って、すぐに来た電車に飛び乗って。
後悔なんてとっくに通り越した感情で、心は埋め尽くされていた。
「どうした?」
半泣きで帰ってきた娘を心配する母親。
『……絶賛青春中、だよ』
若いうちの苦労は買ってでもしろ、って。
買ったっていうか、単純に全部私が悪い。
部屋へ歩いて、制服のままベッドにダイブした。
『……もうー、私なにやってんの、!』
成績があんまり良くなかったことも、
赤点のせいで補習に行かなきゃなことも、
今、全く関係ない。
身の程弁えて、と呟かれたあの感覚が蘇る。
『…はあ、』
3年前、中学2年生の冬。
1年上の先輩に目をつけられ、嫌がらせを受けた。
最初の頃はひた隠しにしてたけど、アザは隠せなかった。
お母さんに見抜かれ、真理ちゃんに見抜かれ。
お母さんは相談しに行こうと行ったけど、
学校には言わないでくださいと頭を下げた。
数ヶ月経てば先輩は卒業していくからと、
負けるもんかと毎日耐えた。
『大丈夫、』
そう独り言を零して、目を閉じた時。
〈♪
メールの受信音がなった。
目黒さっきごめん
目黒でも、これで最後とか嫌。
どんなに先でもいいから、もう1回俺と話して
『……、』
目黒あと本当に面倒臭いっていう自覚あるけど、
目黒Aちゃんのこと、諦めてないから。
『……っなんで、私なの、』
初めて、恋愛で泣いた。
恋愛なんかで泣くような弱い女にはなりたくなかった。
『……うぅ、』
返信はしなかった。
最低だ。
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作者名:MooN | 作成日時:2022年1月31日 20時