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ただの火曜日。
ただの化学の授業。
「お、席替えしたじゃん!
誰がどこにいるのか分かんないなー」
窓際の席でめちゃめちゃ快適だったけど、いつかはやってくるのが席替え。
ちょい右の1番後ろになった。
そしたら、右に目黒がいて、後ろに後ろの方の渡辺がいるっていうのも当然無くなるわけで。
「あれ、渡辺は?どことどこ?」
「「ここです」」
「あれ、離れたな」
「そうっすね」
まだ"渡辺いじり"は健在。
もう慣れたから、嫌とかないけどね。
「よし、じゃあ始めるよー」
ただの火曜日。
ただの化学の授業。
ただの、目黒が隣にいない席。
「前回、つっても結構前か。
体育祭の前にやった内容の復習してから本題入りまーす」
1番右側の、私より1列前の席。
気づいたら、その背中を見ている。
たださえテストの点数やばいのに。こんなことしている場合じゃないのに。
「最外殻電子って何だったっけって話ね。
わかる人?」
客観的に見てさあ、これって恋だよね。
やっぱり、自分に嘘をついてまで
今の関係を保とうとするべきじゃなかったのかな。
でも実際に、"今まで通り"は心地よくて。
相変わらず一緒に帰るし、ちょくちょく連絡はとるし。
私が変わらなければいい話。そう言い聞かせている。
「そう正解。皆思い出した?」
…うわ、先生と目合った。
『…はい』
「え、今日みんなテンション低くない??
なに、低気圧?」
数人が頷く。
なんとなくどんよりした空模様は、私の心と同じ色。
私には、偏頭痛持ちの人の気持ちは分からない。
それと一緒なのかは分からないけど。
私の気持ちは、私以外には理解されないと思う。
目黒がちょっと振り返って、"大丈夫?"って口パクで心配してくる。
"大丈夫"って返す。
本当は全部お前のせいなんだけどな。
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作者名:MooN | 作成日時:2022年1月31日 20時