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「Aちゃん、お昼食べよ」
『え』
数学、化学と苦手続きの2時間が終わって、のんびりしようと思っていたら。
「購買行ってくるから裏校庭で待ってて」
『ちょ、』
私の返事も聞かず、きゃあきゃあしてる女子たちを無視して教室を出ていった。
拒否権ない感じ？？
とはいえ、真理ちゃん以外、一緒にお昼を食べる相手がいない私。
更には真理ちゃんから
真理ごめん深澤に強制参加させられてるからお昼一緒できん!
という、読解に時間がかかるメールがきたのだ。
アイツの約束を知らんぷりしようかと思ったりもしたけど、バレたら沢山の女子を敵に回す気もするし…。
結局行くという選択肢しかないじゃんか。
…………
「お、来てんじゃん」
『これで最後ね』
「やだ」
長い足を組んで、カツサンドの袋を開け始めたコイツ。イケメンって何をやっても様になるのな。
「その弁当自分で作ったの？」
『お母さん』
「お母さんすげえ料理上手いじゃん」
『うん』
ベンチの端と端に座って、短い会話を繰り返す。
「そういえば、なんで17好きなの？」
『好きではないよ』
「？」
『嫌いな奇数の中でも1番嫌いな17にしただけ』
「嫌いなんじゃん」
『17とアンタ、同じだね』
「どっちもAちゃんに嫌われてるってこと？笑」
『的な』
「えー。笑
ここ来てくれたのに？」
『アンタに逆らったら周りの女子に何されるか分かんないもん』
お母さんの卵焼きを口に放り込んだけど、コイツが急に黙るから気を取られる。
「俺が普通だったら、Aちゃん、告白OKした？」
難しい顔をして私を見ている。
自分が普通でないというのは自覚があるらしい。でも、寂しそうな表情を見ると、自慢ではないっぽくて。
『流石に即OKはない』
「じゃあ、俺が普通だったら友達になってくれた？」
『…かもね』
「そっか」
お昼を誘った時の勢いは何処へいったのやら。
カツサンドのゴミをくしゃっと丸めて立ち上がり、ゴミ箱へ捨てに行った。
「それで足りるの」
『朝にデカいおにぎり食わされた』
「あそ。笑」
口角を上げながらこっちを見ているのは気に触るけど、さっきのしゅんとした空気を思い出すと文句は言えなかった。
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作者名：MooN | 作成日時：2022年1月31日 20時
