春夏そして秋 ページ9
4年春。
スポーツトレーナーになる。
あの事件の後に芽生えた新たな目標だった。
あの時尚輝が怪我を負った時、何も出来ずじまいだった自分が嫌だった。
尚輝はプロに進むのはおそらく確定に近いと思う。
プロの世界に進んだ時、支えることができる人になりたいと思った。
それは尚輝だけに限らず、一生懸命努力して野球に取り組む選手の方々に対しても、だ。
縁の下で支えられる力をつけたい、と。
この目標は今まで立てた目標の中で最もはっきりしていて私の心に大きく存在した。
私はスポーツトレーナーを目指すために大学を中退して、上京することにした。
大学卒業まであと1年でのこの決断は正直迷うところもあり、親から反対された。
でも、もともとやりたかったと思っていたことよりも明確なこれといった目標が出来て強い気持ちがあるから。
私はこの道を選ぶ。
この年、中京学院大学は第65回全日本大学野球選手権大会に出場し、初出場し、初優勝を成し遂げた。
そして、同年に開催された第40回日米大学野球選手権大会の日本代表にも尚輝は選出された 。
その活躍を遠くから私は眺めていた。
続く
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作者名：anony | 作成日時：2018年6月16日 17時
